金属行人(6月12日付)

 「長期的に考えると、少子高齢化に伴う内需減は避けられない」―一般的に、拡大する市場では拡販を目指すべきとされる。しかし、もはや日本市場は「売って、売って、売りまくる」のが正解だった高度成長期ではない。成熟市場にある鋼材流通にとって、どうこの難題に対応するのか。解決せざるを得ない問題になる▼ユーザーが使いやすい製品を小ロットですぐに届ける。「即納」「小口」、さらには「加工」もして、「1本」「1枚」「1個」から対応する。需要が減る中、これによって収益力を高める。手段の一つになるだろう▼また、IoTなどの情報化もそうだろう。注文された製品が工場内のどの工程にあるのか。営業マンが業務をしながら手に取るように分かる。業態によっては難しいケースもあるだろうが、システムさえ導入すれば可能だし、すでに使っているところもある。今後はどういった現場であれ、業務のIoT・AI化は進むはず▼そこで課題になるのが、どういう仕組みにするのか。内需減が避けられない未来。市場のニーズがどこにあるのかを探りながら、これからの鋼材流通としての新たなビジネスモデルを模索する。今はそういう時期に差し掛かっているのかもしれない。

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