【愛川町長選】現新2氏の第一声全文

 愛川町長選が12日に告示され、17日の投開票に向けて舌戦の火ぶたが切られた。立候補した現職の小野澤豊氏(65)と新人の小島淳氏(37)=届け出順=は、それぞれ第一声を上げ、支持を訴えた。

小野澤氏 産業と観光の拠点つくる

 いよいよ今日、出陣の日を迎えたところ。ただいま、多くのご来賓から大変に心強いお言葉をちょうだいした。その思いを胸に刻んで、そして皆さんの大きな力を、支えを、エネルギーにしてこの(選挙戦の)5日間、全力をかけ、戦ってまいります。どうか皆さんのお力添え、よろしくお願いします。

 何をするにも財政基盤、これがしっかりしていないといけない。これまで4年間、町長という職を務めさせていただいたところであります。皆さんの大きな力をいただききながら、公約として掲げてきたすべての施策が実行できたところ。公約以外にも、そのときどきに求められる事業、いろいろと取り組んできた。

 そうした中で、一つ挙げると、宮ケ瀬ダムを「あの観光放流を夜にできないかな」ということで、「ナイト放流をやってみよう」と。国からもお金をいただきまして、昨年と、その前の年の一昨年は試行だったが、2年続けて、ナイト放流をやってきたところ。宮ケ瀬ダムや県立あいかわ公園など、多くの皆さんが愛川町に来られております。

 昨年ですが、新聞の、夏に行きたくなるダムの観光ベスト10で、宮ケ瀬ダムがあの黒部ダムを抜いて第1位になった。そして、経産省で調べている「生活コストの『見える化』システム」という、そういう調査がある。

 その調査は何かというと、バス停の数が町にどれぐらいあるか、そして、バス停までどれぐらい距離があるか、さらには病院までの距離がどうなのか、医師がどれくらい町内にいるか、そういうもの。いわゆる生活利便性とか、教育、医療、福祉、さらには災害、自然環境などいろんな角度から調査をし、結果を出したのが「生活コストの『見える化』システム」。

 それにおいて、この愛川町、県下33市町村の中で、ナンバーワン、子育てしやすい街ということで発表が昨年されたところ。

 こういったことで、町としても全職員の力を結集し、子どもから高齢者まで4万人の皆さんために一生懸命に取り組んできた結果でございます。このナンバーワンをまた弾みにして、これからも持続可能で堅実な財政運営を担っていきたい、と考えている。

 そして六つの公約を掲げているが、これは重点施策ということで、町長にならせていただければ、この六つを中心に仕事をさせていただこうということ。

 まず、一つには横須賀(水道・半原)水源地の跡地を活用し、産業と観光、これが連携した拠点づくりを進めていこうということで、これまで「まちづくり協議会」をはじめ多くの住民の皆さんと、基本計画をつくるために一生懸命に取り組んできたところ。

 これからもこれまでのように住民の皆さんと一緒に、このまちづくりの一つとして、この拠点づくりをしっかりと進め、形にしてまいりたい、と考えている。

 そして、このちょっと下になる三増、さらには中津、八菅といろいろと素晴らしい地域資源がたくさん残っている。それを再発見し、さらに地域資源を活用しながらさまざまな施策を展開していきたい。

中学校給食は早期に結論

 そして、生徒さんや保護者の皆さんから中学校給食、「温かい給食を食べたい」という多くの声を聴いています。そうしたことから、今、小学校で自校式で調理場を設けて給食をつくっていますが、子どもの数も減ってきている中でそれが利用できないか。その小学校で作ったものを中学校で活用できないか、そういう今、研究をしているところ。できるだけ早い時期にそうした親子方式も視野に入れながら、中学校給食の結論を見いだしていきたい、と考えている。

 一昨年、半原から本厚木駅まで急行バスを本格運行できたところでございます。これは今、朝晩2便ずつですかね、往復で実施していますが、これも近いうちには、便数を増やしていきたいな、と考えております。また、(バス運行会社に)お願いにも行きます。

 そしてこの春日台を中心に大塚、六倉、アンケート調査をこれから実施して、さらに鉄道駅に近くなるように新規の路線バスを検討していきたい、と。それも公約に掲げている。

 そして、なんと言っても健康第一でございます。町民総ぐるみの健康づくりをこれからもさらに拡大し、そして今、高齢化率28%だが、高齢者福祉、これもさらに充実を図っていきたいと考えている。そしてもちろん、子育ての皆さんのために子育て支援。

 そして、多くの皆さんがこの町に関心を持っていただける「関係人口」、これをさらに大きくしていきたい、増やしていきたいと考えております。

 いずれにしても、大変にこれまでもお世話になってきていますが、厚木市、愛川町、清川村、こうした広域連携でいろいろ進めておりますが、さらに大きく輪を広げていきたい、広域行政をさらに強めていきたいと、そんなふうに考えているところでございます。

 いずれにせよ、1期4年ではいいまちづくりはできません。そんなに生易しいものではございません。県内には33市町村あるが、どこも1期4年でできた所はございません。私はこの4年間、一生懸命、皆さまのお力添えをいただきながら、働かせていただきました。これからも皆さんの力をいただきながら、継続を力にして、愛川のまちづくりに全身全霊を傾けてまいる所存でございます。

 新しい時分にしっかりと引き継げるように、皆さん方とともに全力で選挙戦、戦い抜いていきます。よろしくお願いします。皆さん方の大きな、大きな力を、よろしくこの小野澤豊にお願いを申し上げます。

 皆さんには支援者、そしてこの仲間の輪を大きくできるように、心からお願いを申し上げる次第でございます。小野澤豊、65歳。今、人生100歳時代でございます。まだ元気。まだまだ知力も体力も精神力もございます。

 そして私は、相手候補と違い、相手候補は八王子に住んで(もし当選したら)役場に勤務(すると言っている)。私は「それは無責任だな」と思っております。私は生まれ育ったこの愛川町で4万人の皆さんのために、そして、ご支援をしていただいている皆さんと一緒にさらに素晴らしい愛川を前進、より高く進めてまいります。

小島氏 都内へのアクセス向上を

 初めまして、私が小島淳と申します。私は、選挙に出るに当たって皆さんとお約束をいくつかしたい。私は、いわゆるネガティブキャンペーンはしない。小野澤豊さんとあくまで政策で争いたい。私は、一人でほとんど選挙をしているので、もちろん支援者も何十人かいるが、できることであれば、私の人格や態度、(仮に当選した場合も)八王子から通うと言っていることがお気に召さない方もいると思います。大変、申し訳ない。ただただ温かく選挙期間中は見守っていただけたら大変ありがたい。

 二つ目。私は基本的には徒歩と自転車で町内を回りたい。というのも私は23年間も、半原に住んでおきながら、町でまだ知らない地域がまだまだあることに最近、気づかされています。しっかり選挙運動の5日間を使って、愛川町を、自分の目で見て、自分の足で歩いて、肌で感じたいと考えています。

 また、実際に自分の目で見て歩くものですから、夜暗くなったら午後6時半ぐらいになったらですね、選挙運動はやめて、家に帰りたいと思っております。お騒がせすることが、昼間、日中あるかと思いますが、私歩いていますので、静かにしてくれと言われましたら、速やかに立ち去ります。ご迷惑をかかることがありましたら、せっかくですから私に声をかけていただければすぐにやめます。何卒よろしくお願いします。

 この先、選挙の公約のところをお話しします。一つ目。今回、町長選挙で選挙資金として使っていい金額、選挙管理委員会に約490万円が使用できる、と言われている。私はお金持ちでもないので、そんなお金は全くないですが、今後、若い方々が地方議会、政治の世界、入ってこられる方のハードルはそんなに高くあってはいけないと思っています。

 私のような一介のサラリーマンでそれほど蓄えがなくても、しっかりと政策を主張して、表現さえできれば当選できる、そういう希望を若い方々に与えられるような選挙をしたいな、と考えている。ですので私、お金もないからですが、選挙カーも使いません。

 多くの人に触れ合って、票をいただきたい(という思いも)当然ありますけれども。しっかり目と目を見て、話して、初めて人がようやく理解し合えるというものだと思っていますから。名前を連呼するだけで簡単に投票していただける、そんな訳ないと思っておりますので、地道に少数の方しか会えないかも知れませんが、しっかりと地に足をつけた選挙活動をしてまいりたい。

 また私がもし町長になりましたら、議会に若い方々の意見をぜひ取り入れたい。私自身が率先して若い方々が町の議会に入れるように議会をやる時間なのか、曜日なのか、あるいは報酬なのか、そういったところをしっかりと見直して、若い方が政治の世界に足を踏み入れることができるようにハードルを低くしたい。今あるニーズを、若い方が考えていることを、町の政治の中に取り入れていきたい、と真剣に考えています。

 二つ目。新聞に出ていたが、政府が(2030年までに)バスや車の無人運転技術を使った移動サービスを全国で100カ所以上の地域で展開したい、ということを掲げております。その費用の分担のあり方については、新聞では細かく述べられていなかったが、もし費用対効果が合うのであれば、率先して国や県にこの事業に対して、「愛川町がやりたい」という声を上げてまいりたい。

 新聞を読んでいると、無人運転を使ったバスの運行だと、人件費が7割削減できるそうです。7割もの削減ができれば、今の町の循環バスを倍以上に増やすこともできる。そうなれば今、町で、高齢者が車に乗ってどうしても運転して外に行かなければならないというのをなくして、クルマ社会から愛川町が変わることができる。私は、こういったことも町長になったあかつきには前向きに進めたい。

 三つ目。(先日の)公開討論会でも何度も述べましたが、都内へのアクセスのあり方を見直す、これは私にとって最重要課題です。具体的に申し上げますと、特にリニアが通ります橋本駅に対するバスのアクセス、今はございません。これをぜひ復活させて都内への利便性を向上させたい。京王線、便利ですよね。一本待てば、座って新宿まで行ける。非常に便利な路線です。これを活用しない手はない。

半原水源地の再開発反対

 最後になるが、四つ目。(半原)水源地の再開発事業。愛川町が今、掲げている計画に対して、私は明確に反対します。理由は一つ。愛川町にそこ(=半原)にだけハコモノをつくっても観光事業として成り立つ要素がないからです。観光というのは、ホテルがあって、土産物店があって、ショッピングモールがあって、さまざまな多くの民間(事業者)の方々の努力があって、初めてそこに(観光客の)お金は落とされます。今、愛川町に人が集まっても、お金を落とす場所が決定的に不足しています。そういったところをしっかり整える前にハコモノだけをつくっても維持管理費だけで倒れてしまいます。

 水源地の大きさは3万5200平方メートルほどあるということですから、仮にそこに建物を建てれば、延べ床で1万平方メートル以上の大きな建物が建つことになる。私は今の会社が、物流の倉庫を使っている会社なものですから、そういったことの維持管理費は、なんとなく頭にあります。

 1万平方メートルの貸倉庫を借りようと思ったら維持費用だけでも月に1千万円以上かかります。それをペイするためには一人あたま千円の入場料を取ったとしても、月に1万人もの人を集めないとなりません。日割りにすれば、333人の方々が利用されなければ、維持管理費すらペイできない。その上、間違いなく人件費がかかる。さらには温浴施設であればその施設の維持管理費もかかる。倉庫はほとんど箱ですから。そういったことを考えますと、このままなんとなくで計画を推し進めることは非常に危ういと言わざるを得ません。

 私は町長になりましたら、間違いなく計画を見直します。仮に造るとしても、しっかりと地元の方々に「これだけの費用がかかります」「これだけの入場が見込めます」「これだけの収益が見込めます」ということをご説明し、ご納得した後にしか実行に移しません。私はただでさえ、今の世代が、僕らの次の世代に大きな大きな借金を残すことを知っています。私は町の子どもたちにこれ以上、大きな負担を持たせるような政策を支持することは一切できません。

 何かもうちょっと知恵を出してから行動しましょう。もし私に直接でも、町の方でも構わないと思います。若い人が今後は町をつくってまいります。ぜひ声を上げて、前向きに町政を盛り上げていきたいと思っています。今後とも(選挙期間の)5日間、お騒がせしますが、よろしくお願いします。

◇候補者の発言を原則そのまま掲載しています。

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