ルートインBCリーグにもIT革命 イープラスと組み「スマチケ」導入

購入から入場まですべてをアプリ上で完結

 本年、12年目を迎えたルートインBCリーグ(以下:BCL)は、モデルチェンジを加えながら、地域スポーツの活性化やNPBに選手を送り込むべく、日々邁進している。2018年シーズンからは、選手がプレーできるのは26歳のシーズンまでとする年齢制限を設ける(オーバーエイジは5人まで)など、挑戦的な取り組みを続けている。そして、観戦スタイルにも変革を起こすべき新たな取り組みに挑んでいる。それが株式会社イープラスとのオフィシャルパートナー契約、そして「スマチケ」の導入である。

 スマチケのキャッチコピーは、「BCリーグの観戦チケットの購入はイープラスで! 購入から入場までアプリで完結!!」。試合の観戦チケットを、購入から入場までイープラスのアプリで完結させるシステムだ。2010年代以降に普及し始めたチケットIT化(電子化)の取り組みはIoT(Internet of Things)とも呼ばれている。“モノをインターネットにつなげる”取り組みは、欧米ではスポーツ界でも常識的に行われており。日本でも、昨年度NPBチャンピオンである福岡ソフトバンクホークスを始め、多くの場面で導入されている。

 2018年シーズンから、BCLは独立リーグとして初めて「スマチケ」を導入した。購入ステップは4段階。

1イープラスのアプリをインストールする
2受け取り方法を「スマチケ」にしてチケットを申し込む
3チケットをダウンロードする
4入場はスマホにダウンロードしたチケットを見せるだけ

 と、全てネットを通じて完結させることができる。当日チケット代の所持金の心配や、コンビニ発券の手数料を払う心配もない。

 各球団で独自の方法を取ってはいるが、これまでの主なチケット区分は
・当日券
・前売り券
・招待券
といったところ。ここに、新たな戦力として「スマチケ」が導入された。

「スマチケ」初陣は人気の高い巨人3軍との交流戦 結果は…

 BCLでは、本年度の「BCチームVS読売巨人軍3軍」との交流戦全30試合(10球団各球団3試合ずつ)においてスマチケが実施される。購入者には、特別サイン入り商品が当たるチャンスが得られる抽選券を配るなど、コラボ企画が盛り沢山となっている。

 4月20日(金)から3日間、福島県南部スタジアムで行われる福島ホープス主催試合で、2018年シーズン最初のBCL×読売巨人軍3軍交流戦が開幕した。

 BCLの観客動員数は、平日開催のリーグ戦では500人程度、休日では1000人程の観客動員数だが、NPBチームとの交流戦では、観客が2倍ほど増加する。
 昨季の動員は

リーグ戦平均:606人
NPB交流戦平均:1347人

 と、人気は非常に高い。今シーズン初めてのNPB交流戦は、“スマチケ初戦”としてBCL及びイープラス関係者も現場に赴いた。

 チケットのIT化およびIoTはスポーツ界のみならず、ビジネス界にも浸透し、様々な場面で活躍されている。各種雑誌やネット媒体でも特集も組まれるほどで、“現代の常識”になりつつあるIoTだが、独立リーグではどうだったのか。

 最も観客動員数が伸びた4月22日(日)は、球団発表では944人。3軍といえ、読売巨人軍を一目見ようと多くの地元ファンが詰めかけた。

利用者は熱心なファン中心 地方ではまだ整っていないネット環境

 スマチケ利用者は全体の5%、10人ほどの利用にとどまった。利用者は全員が若い女性であり、普段から選手を追い続ける“おっかけ”をしている熱心な野球ファンであった。利用したファンに聞くと、「コンサートなど普段から、ネットでチケットを買っており、アプリ内で試合の予定を見つけ購入した」「BCLのSNSでの告知を見て知った」など、日常的にインターネットを利用している層がほとんどで、利用したファンは巨人ファンが多かった。

 では、なぜここまで利用者数が伸びなかったのか。

 日頃から福島ホープスの試合を観戦する“地元ファン”に話を聞くと、「いつも現地でチケットを買ってるよ、そもそもガラケーだし(笑)」「ここに来るまで、スマチケって存在すら知らなかったわ、コンビニで発券するのすら一苦労してしまったよ」と、普段からネット環境のないファンが観戦客のほとんどを占めており、中には自宅は圏外であり、新聞のみを頼りに来る人も珍しくない。

 BCLが活動する北陸・信越地方5県と関東地方3県、東北地方1県、近畿地方1県のネットの活用率は都心と比べると少ない。インターネット環境がまだまだ整っていない地域で、BCLがイープラスと手を組み挑戦する試みに今後も注目したい。

(大森雄貴 / Yuki Omori)

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