自動車使用素材に変化、アルミ比率上昇進む 地区CCなどへも影響

 自動車の使用素材変化のスピードが当初の予想よりも速く進みそうだ。東海地区では、自動車に使用するアルミ比率の上昇が足元の話題になっている。さまざまな課題はあるものの、ホットプレス用の素材の流通もここにきて着実に増えてきた。こうした流れは今後も着実に進むとみられ、コイルセンター(CC)や金属プレス業の今後の生き方にも大きな影響を与えそうだ。

予想以上に早い進展

 東海地区の鋼板加工業者。今夏辺りからアルミコイルの扱いが増えそう。同時に、ホットプレス用の鋼板も着実に増えている。アルミの加工は当面は限られたケースでしか行わないが、そのうち加工業務も具体化する可能性がある。超ハイテン鋼の扱い量も確実に増えている。

 自動車のマルチマテリアル化。流通・加工の段階でも、すでにアルミや超ハイテン鋼の使用比率は拡大している。ここへきて、トヨタRAV4などの国内生産が本格化することに伴い、アルミ比率はさらに増えそうだ。また、20年になればランドクルーザーなどのアルミ化も着実に進む。

 背景には、20年のCO2排出規制がある。世界の主要国・地域で、燃費規制の動きが顕在化している。EUでは21年の自動車の燃費を15年比で3割近く向上させるという高い目標が掲げられている。自動車メーカーごとに全販売車両の燃費平均に規制をかけるもので、車体の軽量化に向けた自動車メーカーの開発競争はますます激しさを増す。

 業界筋では「20年には80キロ以上のハイテン鋼比率(ホットスタンプ材含む)は半数を占めることになりそう。さらに30年には50キロ以下の鋼板の使用比率はぐんと減り、全体の2割程度となる」と予測する。100キロハイテン以上の高張力鋼の比率は30年の段階で約4割と予測を立てる。

 アルミ(高強度アルミ含む)は6000系などの使用が増え、30年には2割を占めると同筋では予測する。

 同時に「全体的に、当初の予想よりも速く、現実は進んでいる」というのが関係筋の共通した実感だ。欧米での動きに日本のメーカーも追ずいしている格好で使用素材の変化が速く進む。

 アルミはコスト競争力に課題も残るため「当面は鉄の性能を使い尽くすのが優先課題」との議論もある。

 使用素材の変化や海外移転に伴って、地区鉄鋼業も各方面で対応を迫られることになる。今後の大きな変化を冷静に見極め、対応することが重要になりそうだ。

© 株式会社鉄鋼新聞社