米朝首脳会談後にソウルを訪れたポンペオ米国務長官が13日、記者団に北朝鮮の非核化の検証作業について聞かれ「侮辱的でばかげた質問だ。ばかなことを言うな」と声を荒げる一幕があった。米主要メディアが伝えた。会談で合意された共同声明に、北朝鮮の核廃棄に向けた具体策が明記されていないことに対し内外で批判が強まっており、長官が“キレた”背景にはこうした批判へのいらだちがあったものとみられる。
共同声明に、米政権がかねてから唱えていた「検証可能かつ不可逆的な」核廃棄との文言が盛り込まれていないことを指摘されたポンペオ氏は、声明には「北朝鮮が朝鮮半島の完全な非核化に向けて取り組む」との表現あり、この「完全」という言葉にそうした概念は含まれていると反論した。
記者側がさらに、北朝鮮の核施設査察を含む検証作業について米朝両首脳は議論したのかと突っ込むと、ポンペオ氏は「その質問は侮辱的で奇妙で、率直に言ってばかげたものだと思う」と憤慨。さらに同じことを聞かれると「(交渉の)道のりは長いし、考慮しなくてはならないこともたくさんある。ばかなことを言うな。そんな質問はあなた方の読者や世界にとって、何の助けにもならない」といきり立った。
ポンペオ氏は共同声明に盛り込まれなかったものの、米朝間で多くの事項が合意されたと指摘。今後、こうした点について詰めの作業を行っていく考えを表明した。
ロイター通信の世論調査によると、北朝鮮が非核化の約束を履行すると回答したのは26%だったのに対し、非核化は実現しないと答えたのは40%に上った。 (共同通信=太田清)