「夢高尾」酒米田植え 大井町高尾の棚田で保存会

 100%地元産の純米酒「夢高尾」の仕込みに使われる酒米「吟のさと」の田植えが9日、大井町高尾の棚田であった。地元農家10人でつくる「高尾棚田保存会」が取り組んだ。

 約5千平方メートルの棚田は約20年にわたって休耕田になっていたが、保存会が昨年、夢高尾用の酒米を植えて復活させた。

 「昨年は香りも良く、すっきりした味わいという評価を得た」と、夢高尾を醸造している井上酒造(同町上大井)の井上寛社長(68)。ことし2月に初出荷した4合瓶(720ミリリットル)2700本は既に2千本近くが売れ、早ければ今秋にも完売する見込みという。

 この日は、朝8時に田植えをスタート。保存会代表の藤澤憲吾さん(70)は「高齢化や後継者不足で担い手がおらず、荒廃地は増えている。棚田を再生したい、農業を守りたいと思う仲間と一緒に取り組んでいる。地域を活性化して過疎化防止につなげたい」と話し、井上社長も「ことしも、より良いものをつくっていきたい」と意気込んでいる。

 新酒は来年2月上旬に発売予定。

棚田に酒米を植える保存会のメンバー=大井町高尾

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