米朝首脳会談、一時中止の危機も トランプ氏繰り上げ要求

By 太田清

 12日の歴史的な米朝首脳会談前、先に到着しいらだっていたトランプ米大統領が会談の日程を1日繰り上げ11日とするよう、北朝鮮に要求しろと側近に命じていたことが16日までに明らかになった。米紙ワシントン・ポスト(電子版)が、会談の準備に携わった複数の筋の話として伝えた。 側近の一部はトランプ氏のいらだちと、事務レベルでの北朝鮮側との緊張したやり取りの中で、会談そのものが中止の危機にあると感じたと証言した。 

 10日夜にシンガポール入りしたトランプ氏はいらいらし、退屈した様子で側近に会談を1日繰り上げて11日にすることを北朝鮮側と協議するよう指示。「われわれはもうここにいるんだ。どうしてそんなことができないんだ」と話したという。 

 これに対し、ポンペオ国務長官とサンダース報道官が、11日に会談を前倒ししなくても、時間を準備に有効に使えると大統領を説得。また、入念に準備が進められたテレビ中継も台無しにしてしまうと警告した。結果的に大統領はこれを受け入れたとみられ、会談は予定通り12日に 行われた。

 同紙はこうした議論は、そもそも突然決まり、トランプ氏の決定でいったん中止され、その後再設定された今回の首脳会談の場当たり的な本質を表していると指摘した。 (共同通信=太田清)

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