古代のまち思いはせ 国指定史跡巡るツアー

 川崎市内唯一の国指定史跡「橘樹(たちばな)官衙(かんが)遺跡群」(宮前・高津区)など、縄文時代から奈良、平安時代までの史跡や文化財を巡るツアーが16日、行われた。市教育委員会主催で、市民ら約30人が古代の川崎の姿に思いをはせた。

 同遺跡群は国の文化審議会でエリアを追加指定するよう答申が出たばかり。奈良、平安時代の役所跡「橘樹郡家(ぐうけ)(郡衙(ぐんが))跡」と古代寺院跡「影向(ようごう)寺遺跡」からなる。

 影向寺遺跡には、8世紀前半ごろに総瓦ぶきの金堂と塔があったと推定される。塔の中央の柱を支える大きな影向石があり、ツアーで担当職員は「真ん中のくぼみの大きさから、塔は高さ35メートルの三重塔とみられている」と説明。「40年前の調査で塔の基礎部分は東西12メートルとされていたが、今回、掘ってみて8メートルと全国的にも小さいと分かった」と続けた。

 多摩区に住む小学5年の須藤寛君(10)は「当時、(奈良から遠く離れた場所で)新しい文化を取り込んで、お寺や塔を造ったということに驚いた。地面を掘って塔の大きさが分かるなんてすごい」と興奮していた。

 市教委は23日、影向寺遺跡の現地見学会を開く。午後1時半からと同3時からで、参加無料。申し込みは不要。雨天の場合は24日に順延(小雨決行)。問い合わせは市教委文化財課電話044(200)0403。 

影向寺遺跡の発掘現場を見学する参加者ら=川崎市宮前区野川

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