県、災害に備え高所カメラ増設 防災ヘリ映像、県全域から受信 二次被害予防や情報提供に活用

 地震や大雨などの災害時にリアルタイムで情報を把握するため、長崎県は市街地などを俯瞰(ふかん)する「高所カメラ」を2カ所から9カ所に増やしたほか、防災ヘリの空撮映像を県内どこからでも県庁で受信できるシステムを整備した。県は「18日の大阪府の地震のような災害や大雨の場合に役立てたい」としている。
 高所カメラや関連無線機器、防災ヘリの映像伝送システムの整備など事業費は計約69億円。高所カメラはこれまで、雲仙・普賢岳を主に撮影する県島原振興局と、佐世保港を主に撮る佐世保市役所の2カ所しかなく、県庁からの遠隔操作もできなかった。今回、新たに、長崎市街地を見下ろす稲佐山、上五島国家石油備蓄基地などを映す高熨斗(たかのし)岳など7カ所を追加。全9カ所とも県庁からの遠隔操作で360度、角度を調整できるようになった。
 また、防災ヘリからの映像はこれまで五家原岳(諫早市)の中継所で受信したが、一部離島から受信できなかった。平戸市大島村にも受信拠点を整備し、県内全域から映像を受け取り、県庁で確認できるようにした。
 県危機管理課によると、県内は3月21日を最後に、暴風警報や大雨洪水警報などの気象警報はない。新システムが本格的に稼働する事態はいまのところ発生していないが、梅雨や台風のシーズンに入り、同課は「カメラやヘリからの映像を二次被害予防策や市町への情報提供に役立てたい」としている。

高所カメラの映像を表示する大型モニター=県防災対策室

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