10倍? いや70倍の高値請求も W杯、タクシーのぼったくり横行

By 太田清

モスクワ市内に並ぶタクシーの列=3月(共同)。記事とは直接の関係はありません

 サッカーのワールドカップ(W杯)が行われているロシアで、タクシーが規定をはるかに超える金額を請求する「ぼったくり」が問題となっている。サービスに関する法整備が未熟な途上国ではよくある話だが、ロシアもその例に漏れず、現行の規則では取り締まれないケースも多々あるという。 

 アイスランドから来たサポーターは空港からモスクワ市内の宿泊先にタクシーで着いたところ、5万ルーブル(約8万6000円)を請求され、訳の分からないまま支払った。後で相場の価格を知ってショックを受けた。ロシアの都市情報サイト「ザ・ビレッジ」が伝えた。

 ニュースサイト「レンタ・ルー」などによると、サウジアラビアからのファンは、モスクワのスタジアムからタクシーでホテルに帰る際、3000ルーブル(約5000円)支払うことで運転手と合意したが、カードでの請求額は10倍の3万ルーブルだった。 

 W杯初日の14日、ロシアとサウジアラビアの初戦が行われたモスクワでは、一部タクシー運転手が、メーターで表示される数字はロシアの通貨であるルーブルではなくユーロだと主張、その金額での支払いを要求した(現在の為替レートで計算すると約74倍多く払うことになる)。 

 ニュースサイト「ガゼータ・ルー」は「タクシー運転手はどうやってサポーターをばかにするのか」との特集記事を掲載。外国人のぼったくりの事例報告がSNSで相次いでおり、支払いを拒否した場合、タクシー運転手から暴行すると脅されたケースもあった。こうしたケースに遭遇した女性は警察に助けを求めたが「交通警察に電話してくれ」と言うだけで、取り合ってもらえなかった。 

 このほか、タクシーの乗車時間が1時間もなかったのに4時間分の料金を請求したケースも。市内でタクシーを利用したペルー人から相場の5倍の料金を受け取ったタクシー運転手はガゼータ・ルーの記者に対し「彼らは外国人だし、お金を持っているから」と悪ぶれた様子もなかった。 

 タクシー乗り場で待機しているタクシーを利用したり、タクシー会社に電話して呼び出したりした時は市当局や会社に苦情を申し出ることもできるが、流しのタクシーや街頭にいるタクシーを利用した場合は、対処のしようがないのが実情だという。 (共同通信=太田清)

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