LIXILが提案する性能xデザインの融合

「ノイズレス」実現する窓新製品「LW」TOSTEMブランドで発売

「Good Livingフォーラム2018」で発表

6月から全国15会場で開催

急速なZEHの普及もあって高い住宅性能は今後当たり前になり、高性能ならではの心地よさ、豊かさを実現するデザインが求められるようになっている。そうした中、LIXIL(東京都千代田区)では、 “健康と省エネ”の重要性を訴求する「THINK HEAT」の活動を展開。また、空間としての調和をトータルで提案する「LIXIL Design Style」をスタート。デザインを軸にしたブランド戦略を進めている。LIXIL Housing Technology Japanの野澤徳則氏、関塚英樹氏、羽賀豊氏に住宅分野における健康・省エネ×デザイン戦略を聞いた。
(聞き手:三浦祐成=新建ハウジング発行人・新建新聞社代表取締役社長)

野澤徳則氏
LIXIL常務役員
LIXIL Housing Technology Japan
ZEH推進事業部 事業部長

関塚英樹氏
LIXIL常務役員
LIXIL Housing Technology Japan
サッシ・ドア事業部 事業部長

羽賀豊氏
LIXIL Housing Technology Japan
デザインセンター長

三浦祐成
新建ハウジング発行人/新建新聞社代表取締役社長

デザインを核にブランド強化

「TOSTEM」復活の理由

三浦 今、住宅業界全体が「微差」の競争になっているという感覚がある。供給側にとっては大事な差でも生活者もビルダーも違いがよく理解できないことも多く、選びきれなくなっており、結局価格勝負に陥っている面もある。ただ、デザインにはまだまだ追究の余地があると思う。

野澤 今や一定の性能は当たり前になった。性能をベースにどう高付加価値化するかを考えたときに行き着いたのが、ユーザーの直感に訴えるデザイン。ユーザーに伝わりやすいだけでなく、工務店・ビルダーが提案しやすいという視点で、LIXILが目指すデザインを整理している。

羽賀 LIXILでは開口部周りを「開・空間」というコンセプトで整理した。開口部は空間と空間の間にあるもの。空間と空間を繋いだり切ったりするための有効なデバイスだ。窓単体、ドア単体を考えるのではなくて、空間の繋がり方、空間全体を考えてデザインするというのが基本思想。この思いを「開・空間」というコンセプトに込めている。

三浦 製品単体ではなく空間をトータルでデザインしコーディネートできるようにしていくという方向性だと理解した。開口部周りのトピックで言えば、「TOSTEM」ブランドも復活させた。その意図もお聞きしたい。

野澤 デザインを軸にした新しいブランド戦略を進めているが、商品をイメージさせる強いパワーブランドが必要だと考え、部位ごとにブランドを立てることとした。窓・玄関製品カテゴリーは、いまだに覚えて頂いている「TOSTEM」ブランドで展開する。

関塚 プロクター・アンド・ギャンブル社における「パンパース」ブランドのようなイメージで捉えて頂くとわかりやすいのではないか。窓・玄関と言えば「TOSTEM」とイメージしていただけるようになるのが理想だ。

技術力を総動員し「ノイズレス」実現

框・枠見えない新窓商品「LW」発売

「TOSTEM」ブランドで2018年8月に発売する「LW(エルダブリュー)」は、「ノイズレス」をキーワードに、デザインに強くこだわった製品だ。やもすればノイズだと感じられるサッシの框・枠を、室内側から見えないように隠し、視界を遮らないようにした。

三浦 框・枠が見えないデザインは、確かにユーザーでも一目で違いを感じることができる。設計者にとっても魅力的だが、これまでは断熱性能との両立や使い勝手の点で難しかった。

関塚 そのためにフレームを外付けにした。外付けにすると外気に触れる面積が大きくなり、断熱性能的には条件が非常に厳しくなる。そこをブレイクスルーする技術の開発に2年以上を要した。
 断熱性能だけでなく、使い勝手とデザインの両立にもこだわった。使い勝手については、開閉するための機構を枠に仕込んだ。枠にボタンを設け、そこを押すとレバー状の取っ手が出る。それを引くと、テコの原理で障子がスッと開く。
 これは一例だが、「LW」の開発には、デザインに妥協しないためにこれまで培った技術力を総動員した。新生「TOSTEM」ブランドにふさわしい商品になったと自負している。

新生「TOSTEM」ブランドの窓商品「LW(エルダブリュー)」。“ノイズレス”にこだわったデザインが特徴

開閉の機構も新たに開発した

オプションの「アウターセット」は、縦格子になっており、引き戸を開けたときに障子を隠すだけでなく、開口部側にスライドさせてロックすると外部からの侵入を防ぎながら、風を通すことができる。見た目だけでなく、暮らし方をデザインに落とし込んでいる

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