【MLB】ナ軍19歳がバリー・ボンズ以来の史上6人目の珍事 デビュー前にデビューの謎

ヤンキース戦で“デビュー前”本塁打を放ったナショナルズのフアン・ソト【写真:AP】

ナショナルズのソトが、デビュー前にデビューし、初打席初本塁打?

 世にも不思議な出来事が起きた。今季のMLBで驚異の新星として脚光を浴び始めているナショナルズのフアン・ソト外野手が、“メジャーデビュー前に、メジャーの試合に出てメジャー初本塁打を放つ”というメジャーリーグ史上でも珍しい記録を作った。

 タイムワープしたかのような記録が生まれたのは、18日(日本時間19日)に行われた本拠地でのヤンキース戦だった。この試合は、5月15日に降雨のためにサスペンデッドゲームとなり、翌日に再開して行われるはずだった試合も雨で中止に。そうして約1か月後に再開された試合だった。

 試合再開となった6回裏1死一塁で、故障者リスト入りしてしまったマット・アダムスの代打として打席に立ったソトは、右翼スタンドへと本塁打を放った。これがメジャーで6本目の本塁打となったが、記録上はこれがメジャー第1号。しかも、実際にメジャーデビューするより前に、初本塁打を放ったという“摩訶不思議”な一発となった。

 ソトがメジャーデビューを果たしたのは5月20日の本拠地ドジャース戦。その後、目覚ましい活躍を見せ、ナショナルズのスタメンの座を掴んだのだが、このヤンキース戦が行われた時はまだ傘下のマイナーにいた。6月18日(同19日)に試合に出場し、本塁打を放ったが、記録上はまだマイナーにいた5月15日(同16日)にメジャーデビューし、メジャー初打席で初本塁打を放ったことに。何とも頭が混乱しそうな、不思議な記録となった。

 メジャー初昇格前に、メジャーデビューを果たし、初本塁打まで放ったことになったソトだが、この“珍事”に、MLB公式サイトの動画コーナー「Cut4」も注目。実はこれまでにもソトと同じようにメジャー初昇格を前に、記録上でメジャーデビューを飾った選手がいたとし、MLB歴代1位の通算762本塁打、シーズン73本塁打を放っているバリー・ボンズ氏もそうだったと伝えている。

メジャー最多本塁打記録のボンズも、デビュー前にデビューし、決勝打を放っている

 「Cut4」は「ファン・ソト、バリー・ボンズ、その他4人の選手たち。彼らはデビュー戦の前にタイムワープしてMLBでプレーしていた」と題して、これまでにあったこの“珍事”をレポートした。

 このレポートによると、1人目は元カブスのオスカー・ギャンブル。1969年8月27日にドラフトで指名され、1年後にメジャー昇格を果たしたギャンブル。デビュー前の6月15日にサスペンデッドとなった試合が9月2日に再開され、その試合で代打で四球を選び、実際のデビューよりも2カ月以上早くメジャーの試合でプレーしたことになる。2人目が元パイレーツのデイブ・パーカー。1973年7月12日にメジャー昇格したが、4月21日に中断した試合が7月26日再開され、その試合の7回で代打で出場して安打を放ったという。

 野手として3人目がバリー・ボンズ。初出場を果たしたのは、パイレーツ時代の1986年5月30日に行われたドジャース戦だった。だが、4月20日のカブス戦がサスペンデッドとなり、8月11日に再開されて、この試合は決着。延長14回、8-8の場面で再開され、ボンズは延長17回に代打で出場。決勝の適時打を放っている。ボンズはデビュー1か月前に、メジャー初打席で勝ち越しタイムリーを放ったという。

 投手では2人いるという。1人目は元フィリーズのマニー・ムニス。1971年9月3日がメジャー初登板。だが、中断となっていた8月1日の試合が9月7日に再開され、13回に登板するも、安打を許して降板し、その後勝ち越されて敗戦投手に。このムニス、メジャー通算成績は0勝1敗。“デビュー前”に喫した黒星が、キャリアで唯一の敗戦だったという。

 元メッツのジェフ・リアードンは、1979年8月25日の試合でメジャー初登板を果たして、敗戦投手に。だが、その2日後の27日に、6月17日に中断されていたた試合が再開。9回にマウンドに上がって無失点で抑えると、その裏に味方がサヨナラ勝ちを抑めた。実際はメジャー初登板初黒星だったが、記録上はデビューの2か月前に、初登板初勝利を挙げたという。

(Full-Count編集部)

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