サバ缶ブームで生産追いつかず 相浦缶詰 慢性的な人手不足も影響

 サバ缶ブームに伴い全国で生産が追い付かない状況が続いている。OEM生産(相手先ブランドによる生産)で大手加工食品会社の商品を手掛ける相浦缶詰(長崎県佐世保市)でも、メーカーからの受注量が例年同期の約1・4倍に増加。慢性的な人手不足もあり、生産量を上げられない状況が続いている。
 13日午後2時ごろ。相浦缶詰松浦工場(長崎県松浦市)では、2種類あるサバのしょうゆ煮の缶詰を製造していた。しょうゆと砂糖の甘い香りが漂う工場内でごう音を立てる機械。そのそばで、約70人の従業員が手際良く缶の重さを量ったり、缶からはみ出たサバを整えたりしていた。
 テレビ番組の特集などで昨年から全国でサバ缶ブームが広がった。栄養豊富で健康にいいとされることや低価格が人気を後押しする。「ありがたい状況だが早く(受注量に)追いつかなくてはいけない」。加納洋二郎社長は頭を悩ませる。
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 相浦缶詰は、ミカンなどの農産物とサバやイワシなどの水産物の缶詰の両方の製造を手掛ける。サバの缶詰は3社の商品を生産しているが、昨年秋ごろから受注量が急増。6月から水産物の缶詰だけを製造する期間に入ったが、フル稼働でも生産量は受注量の60%程度にとどまっている。
 農産物の缶詰も手掛ける11月~翌年5月を見据え、本来は受注量よりも多く生産しておく必要がある時期。加納社長は「ストックが作れるからこそ(年間通じて)生産できる。バランスが崩れている」と話す。
 慢性的な人手不足も影響している。150人が必要な状況ながら、現在は130人体制で生産。求人広告を出してもなかなか集まらないという。やむなく休日を減らしているが生産は追いつかない状況だ。
 通常、缶詰業界のブームは3カ月程度だが、サバ缶の人気は半年以上続いている。「レシピがテレビで紹介されるなど、サバ缶は食材として定着しつつあるのではないか」と加納社長。「外国人研修生の活用や設備投資も含め検討していきたい」としている。

サバ缶の製造に追われる工場=長崎県松浦市、相浦缶詰松浦工場

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