【三井物産スチール「西日本統括本部」発足、新体制の展望と課題】〈大沢聡本部長(常務執行役員)に聞く〉三井物産グループと連携強化 広島・福岡の営業担当、ベテラン配置

――鋼材営業の一部が日鉄住金物産に移管され、関西支社も4月から西日本統括本部と組織・名称も変わりました。その西日本統括本部の役割をお聞かせください。

 「関西支社のときは、主に関西地区を商圏として営業活動してきた。中国(広島)、九州(福岡)、四国(高松)も支店があり、地区ごとに営業活動を展開してきたが、4月からは中国、四国、九州の各支店の営業領域を含め西日本統括本部が関西以西・九州・沖縄までを商圏として一元対応している」

三井物産スチール西日本統括本部・大沢本部長(常務執行役員)

 「ただ支店がなくなったとはいえ、中国と九州は三井物産・鉄鋼製品本部が『スチール・コーディネーター』と呼ぶベテラン営業マンを配置し、三井物産スチール(MBS)と連携してお客様への対応をさせていただいている。九州や中国地区のお客様にはスチール・コーディネーターがきちんとフォローし、われわれも大阪から出張ベースで四国も含めて西日本全体を飛び回って、お客様のご要望を聞き、しっかり対応していく構えだ」

――扱う鋼材は。

 「新日鉄住金およびそのグループ分の販売は日鉄住金物産に移管されたが、それ以外のJFEスチール、神戸製鋼所、日新製鋼の高炉各社や、特殊鋼、鋼管メーカーなどは引き続きMBSが営業活動を行っている。扱い製品は厚板・薄板、鋼管、特殊鋼などで、扱い数量は3月までに比べて約半分減少したが、それでも年間25万~30万トンのボリュームがある。売り上げ規模は約250億~300億円。西日本統括本部の営業部も『西日本営業部』の一つに集約したが、少数ゆえに『がんばらなくては』と士気は高まっている」

――線材の扱いは。

 「これは新日鉄住金グループの製品がほとんどだったことから、現在は日鉄住金物産の子会社になったNSSB三鋼販を通じて東大阪など大阪や西日本各地の線材二次加工メーカーに納入している」

――「スチール・コーディネーター」の配置など三井物産本体との連携を強化している。

 「西日本地区には、瀬戸内海や九州での造船分野、石油や化学をはじめとしたプラント分野などの市場があり、こうした分野は物産の船舶部門やプラント部門が主に担当しているが、そこでは鉄を多く使う。また他部門でも鋼材を使う分野が少なからずある。こうした市場向けに三井物産グループの総合力との連携をこれまで以上に濃くしていく計画だ。総合力をベースにしたお客様への情報発信力も強化しながら、鋼材扱い数量の維持および拡充を図っていきたい。西日本統括本部の鋼材扱い量は確かに減ったが、増やしていくという点ではチャンスと捉えていきたい」(小林 利雄)

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