県内公立小中教職員 時間外労働80時間超8027人 100時間超も

 長崎県内の公立小中学校で「過労死ライン」とされる月80時間超の時間外労働をした教職員が2017年度、延べ8027人いたことが22日、県教委の調査で分かった。うち100時間超は延べ2461人だった。県教委は「21年度までに80時間超をゼロにする」目標を掲げ、教職員の働き方改革を進める。
 県教委は08年度から16年度まで「月100時間超」の視点で時間外労働の実態調査をしてきたが、「月80時間超」にラインを下げて調べたのは初めて。
 県教委によると、1年間のうち、複数月で月80時間超だった教職員もおり、延べ人数で計算すると、小学校延べ1037人、中学校延べ6990人。教職員全体数(実数に12を乗算した延べ数)に占める割合は小学校1・5%、中学校が16・7%を占めた。100時間超は小学校延べ96人、中学校延べ2365人いた。
 中学校は部活顧問を務める教職員が多いため、小学校の割合を大きく上回った。会議や授業以外の校務、保護者ら外部との対応なども時間外労働時間を押し上げる要因とみている。
 対策として県教委は▽本年度中に教職員の定時退校日を週1回実施する割合を100%▽来年度までに各部活ごとに週2回休養する割合を100%▽21年度までに全市町に勤務時間をICカードなどで客観的に把握するシステムを導入-などを掲げる。
 ただ、21年度までに80時間超をゼロにする目標は「ハードルが高い」(県教委幹部)。「教職員への周知や啓発だけでなく、保護者や地域住民にもこうした目標があることを知ってほしい」と理解を求めている。
 厚生労働省は「発症前1カ月におおむね100時間、または発症前2カ月から6カ月にわたり、1カ月当たりにおおむね80時間を超える時間外労働」を「過労死ライン」とみている。県教委は健康被害防止を重視した同省通知に基づき、時間外労働が月80時間超かどうかで初調査した。

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