はれのひ元社長、詐欺容疑で聴取へ 神奈川県警

 今年の成人の日を前に突然営業を取りやめた振り袖の販売・レンタル業者「はれのひ」(横浜市中区)が、粉飾した財務書類を提出して銀行から融資金をだまし取った疑いが強まったとして、県警が詐欺容疑で、本格的な捜査に踏み切る方針を固めた。23日にも、海外から帰国する篠崎洋一郎元社長(55)から事情を聴く。

 捜査関係者によると、同社は2016年9月ごろ、新規出店の資金名目で、県内の銀行から3500万円の融資を受けたという。同社はこの時点で実際には債務超過に陥っていたが、売り上げを架空計上して黒字に見せかけた財務書類を銀行に提出した疑いがあるという。

 同社を巡っては、今年1月8日の成人の日を前に突然営業を取りやめ、成人式で晴れ着を着られない新成人が相次いだ。県警は問題発覚を受け、同社の経営実態の把握を進め、この融資を受けた経緯について、篠崎元社長から事情を聴く必要があると判断したとみられる。

 同社は同26日に横浜地裁から破産手続きの開始決定を受けた。今月20日に横浜市内で開いた債権者集会では、破産管財人が債権者の総数は約2500人で、負債総額は約10億8500万円に上っていたことなどを報告。同社側に資産はほとんどなく、債権者への配当は不可能な状況だと説明した。配当の見込みがないことから、同地裁は破産手続きを打ち切る廃止決定を出した。篠崎元社長は姿を見せず、代理人弁護士によると、3月下旬から連絡が取れないと説明したという。海外に滞在しているとみられる。

 はれのひは2011年3月に設立。振り袖の販売やレンタルなどを手掛け、相次ぐ新規出店で規模を拡大したが、破産管財人によると、16年9月期決算で多額の損失を計上。新規融資が事実上、不可能になり自転車操業の状態に陥った。

約70人の債権者が出席した「はれのひ」の債権者集会=横浜市中区の市開港記念会館

© 株式会社神奈川新聞社