湿気を水に変える省エネルギー材料スマートゲル、関西大学とシャープが開発

関西大学化学生命工学部 宮田隆志教授 研究グループと、シャープ 健康・環境システム事業本部は、大気中に気体状態で存在する水(湿気)を吸収(吸湿)し、わずかに温度を上昇させるだけで液体状態の水に変化させるスマートゲル(温度応答性ゲル)の開発に成功した。

高分子ゲルは、食品や紙おむつ、コンタクトレンズのほか、薬物放出や細胞培養など医療分野の最先端材料として世界中で研究されている材料。

温度やpHなどの環境変化に応答するスマートゲルは、次世代薬物放出やセンサー、再生医療への応用が期待されている。

今回開発したスマートゲルは、室温付近において湿度の比較的高い環境下でよく吸湿する。吸湿したゲルを50度に加温すると、ゲル表面から液体状態の水がしみ出てくる。

また、温度のサイクル変化により吸湿としみ出しの繰り返し操作が可能。わずかな加温により空気中に気体状態で存在する水(湿気)を液体状態の水として直接的に回収するため、高温加熱による乾燥剤の再生や水蒸気の凝縮などのプロセスが不要。小型・省エネルギーシステムの開発につながると期待できる。

© 株式会社エキスプレス