W杯、第2戦は

 ちょうど今ごろ、梅雨どきに吹く南風を「黒南風(くろはえ)」と言うらしい。暗雲の下に吹く湿った風を思わせる。梅雨が明けて吹く「白南風(しらはえ)」という言葉の爽やかさとは、対照的な感じがする▲黒南風の時期に見る青空はすがすがしい。なにも上空ばかりではなく、この何日かは地上の「青」に心躍らせてきた人も数限りなくいるだろう。侍ブルーが強豪コロンビアを破り、サッカーのワールドカップは日本中で一気に盛り上がりを見せた▲この欄をいま読んでいる方は、日本の1次リーグ第2戦、セネガルとの対戦結果をすでにご存知のはずである。日本中が熱い視線を注いだ試合の勝敗は、さて▲日本の西野朗監督は第2戦を前に、相手を恐れるよりも試合を楽しみたい、どう攻略するか見せたい-と語っていた。初戦に続いてランキングでは格上のチームを相手に、日本選手の戦いぶりは▲画面の青いユニホームをひたすら目で追い、その姿を頭で再生しながら、そうとう遅い眠りに就いた人も少なくあるまい。寝不足のきょうは、心に試合の余韻の広がる1日にもきっとなる▲列島がサッカーに沸き続けるこの何日かは天災に見舞われた日々とほぼ重なる。大阪で地震があり、豪雨も襲い、被災地だけでなく日本全体、暗雲に包まれている。余計にブルーが目にまばゆい。(徹)

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