東京都、自衛隊と3年ぶり統合防災演習 冬の首都直下地震想定、屋外訓練は中止

21日の訓練の様子。都庁に自衛隊員も参集した

東京都と自衛隊は19~22日にかけて、首都直下地震を想定した防災訓練を実施した。20日に予定されていた野外救護所の開設やヘリコプターも活用した医療搬送といった屋外訓練は雨で中止。新宿区の都庁で主に図上訓練が行われた。自衛隊統合防災演習と合わせた都の訓練は3年ぶり。

1月19日の午前10時25分に震度7の地震が発生。環状7号線沿いを中心に火災が多数発生しているという想定で訓練が行われた。都は災害対策本部を設置。都庁第一本庁舎の指令情報室に総務局総合防災部を中心に都職員や自衛隊、警視庁、東京消防庁といった関係者が参集。区市町村からの被害情報の確認や国や他県市との調整などを見すえた訓練を行った。

21日は発災後55時間を想定。物資調達担当者など関係者が増え、都内の避難所や駅の帰宅困難者の情報も得たうえでの対応訓練を行った。20日は都や自衛隊のほか、災害拠点病院の都立墨東病院や自衛隊中央病院も参加し、屋外で訓練の予定だったが中止となっている。

都では発災時に知事を危機管理監が補佐し、総合防災部を中心に活動。総合防災部では方針決定や情報収集などを行う。また関係部局のほか警視庁や東京消防庁、自衛隊など国の機関や首都圏の都県と政令指定都市である九都県市など他県市との連携や調整も実施する。

震度6弱以上や風水害やテロなど大きな被害の発生、または恐れがある場合は全庁職員で対応となる災害対策本部が設置される。震度4、5弱、5強はそれぞれレベル1~3に分類。1では初動要員として5~10人程度、2では数十人、3では100~300人程度が出動する。都では都庁から徒歩30分圏内の半径約2.5kmに災害対策職員住宅を用意。総合防災部職員を中心とした指定要員や各局の希望する職員である業務要員の約150人が入居し、交代で待機している。

小池百合子知事は22日の記者会見で、18日の大阪府北部を震源とした地震や今回の訓練をふまえ、「『セーフ シティ』実現へ、持続可能かつ安全・安心なまちづくりを目指す」とし、帰宅困難者対策やブロック塀のほか、水道やガスなどインフラ老朽化対策、無電柱化などへの取り組みを表明。大阪北部での地震については「大都市の直下で起こり、東京にとっても大きな教訓がある」とし、ライフラインのほか外国人への情報伝達も課題にあげた。

都では18日の地震による倒壊で死者もでた学校のブロック塀については、点検を都立校以外に主に小・中学校を管轄する区市町村にも依頼。報告期限を29日とし、後日とりまとめ結果を公表する。また、民間のブロック塀対策として区市町村の助成や所有者による自己点検などの情報を「東京都耐震ポータルサイト」などを通じて周知していく。

■ニュースリリースはこちら(ブロック塀点検)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/06/21/14.html

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介

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