18歳成人への不安

 「今の政権与党は何党だか知ってる?」。こんな質問に、高校3年の女の子はあっけらかんと「知らない」。同級生数人も「知らない」と無邪気な顔▲2016年、選挙権年齢が18歳に引き下げられて初の国政選挙を迎えた時の取材だ。1票を投じる高校生の中には、主権者意識が十分育っていない生徒も少なくないと感じた▲選挙権に続き、今度は成人年齢が引き下げられる。改正民法が施行される22年4月以降、18歳の誕生日を迎えた人は、子どもとして保護される枠から外れ、法律上は大人になる。本人への直接的な影響は選挙権の時より大きいだろう▲10代後半は精神的な成長成熟の個人差が大きい時期だ。自立した考えを持つ子もいれば、親に甘えっぱなしの子もいるはずだ。大人の線を引き下げて本当に大丈夫か不安もある▲一方、最近は晩婚化や元気な高齢者の増加で、相対的に若い世代が成人後も子ども扱いされることが増えてきた気がする。60代の親が30代の子の生き方に対し、「いつまでたっても子ども」とばかりにあれこれ口を出すことは珍しくないだろう▲社会の意識は、子ども期間を2年短縮する法的な線引きの変更に、ちゃんと追いついていけるだろうか。時代の空気はむしろ、子ども期間が長くなる方向に向かっている気がするのだが。(泉)

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