新日鉄住金ステンレス伊藤社長、日新とのステンレス鋼板事業統合「新たなDNAを創造」

 「来春発足する統合会社はまずは収益性を上げて競争力を高める。それ以上に商品開発力や研究成果を持ち寄り、新しい商品を創ることが大事だ。将来的に国内需要が縮小していく中で海外需要も捕捉する。ある地域は貿易障壁が高くてインサイダー・プレイヤーの牙城であり、ある地域は汎用品市場で激戦が繰り広げられている。そうした海外成長市場における仕組み作りも考えていく」―新日鉄住金ステンレス(NSSC)の伊藤仁社長は25日、都内で開催した記者懇談会でこのように力説した。

 5月16日に日新製鋼とのステンレス鋼板事業の統合を発表。6月には各支店を回り、「足元は市場環境に恵まれているが、将来にわたる不透明要因は多々あり、より強い会社になる必要がある」と説いた。

 7月には3製造所を回る。NSSC発足後の入社組は全社員の64%に達しており、その中堅・若手には「君たちの将来のために会社を大きくする」と説明する。

 NSSC発足メンバーである伊藤さんは「目の前の課題に必死に取り組み続けて、気づいた時には強い会社になっていた」と振り返る。「勇気を持って変化を恐れず新しい挑戦に立ち向かう。統合会社の社員が心を一つにして取り組めば、世界をリードするステンレス会社に近づける」「統合会社でも目の前の課題に必死に取り組んでいく。多様なDNAが混然一体となって乗り越える過程で、素晴らしいDNAが創られるはずだ」と断言する。

 乾杯挨拶で岸上公久取締役は「歴史や文化が違うほど化学反応も大きくなる。統合会社は世界のステンレス産業のリーディングカンパニーを目指していく」と強調し、赤羽裕副社長は中締めで「5月16日は25年前に鹿島アントラーズがJリーグ初戦で快勝した日でもある。『献身・誠実・尊重』に象徴されるジーコスピリットをアントラーズが継承してきたように、新しい会社のDNAを若い人達につないでいくことが最も大事になる」と述べた。

© 株式会社鉄鋼新聞社