ヘイト集会で「不適切発言」川崎市議厳しい対応要請

【時代の正体取材班=石橋 学】人種差別を繰り返す極右活動家が川崎市教育文化会館で主催した集会でヘイト発言が行われた問題で、鈴木賢二市民文化局長は26日、「不適切な発言と認識している。今後申請があった場合、ガイドラインにのっとり(施設使用可否の)判断材料の一つにして総合的に判断する」との見解を示した。同日の市議会でみらいの堀添健氏(高津区)の一般質問に答えた。

 主催団体「ヘイトスピーチを考える会」を立ち上げた瀬戸弘幸氏は自身のブログで「ヘイトスピーチはしない」と表明していたが、当日の3日には一部の参加者が「ウジ虫、ゴキブリ、日本から出て行け」と差別発言を行った。市は、ヘイトスピーチを行う具体的な恐れが認められないとして会館使用を許可しており、堀添氏は「実際には差別的言動を行ったことを重く受け止める必要がある」と指摘。「当該団体は極めて不誠実。市の考えを直接伝えるなど厳しく対応すべきだ」と求めた。

 鈴木局長は、参加者に注意を促すと記した文書が主催者側から提出されていると明かしたが、堀添氏は「当日の動画がいまもインターネット上で視聴できる状態になっている」として、主催団体側の言動の信用性に疑問を呈した。

 堀添氏は、福田紀彦市長が2019年度中の制定を明言している差別撤廃条例にも言及。「ヘイトスピーチの土壌となる人種差別に対処することが重要。(ヘイト発言が行われたことで)ガイドラインの中身や運用の見直しでは必ずしも十分でないことは明らか。市人権施策推進協議会の提言通り、実際の行為に対処する実効性ある仕組みづくりが必要だ」と強調。地元の南武朝鮮初級学校の現状にも触れ、「子どもたちはチマ・チョゴリを着て学校に通えなくなり、スクールバスの学校名をテープで隠さなければならなくなっている。差別を受けているマイノリティーは実際に迫害を受け、危機感を持って生活している現状を踏まえ、決断してもらいたい」と訴えた。

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