朝鮮学校無償化除外訴訟が結審 東京高裁10月判決

【時代の正体取材班=石橋 学】朝鮮学校を高校無償化の対象から除外したのは違法として、東京朝鮮中高級学校の卒業生61人が国に計610万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審は26日、東京高裁(阿部潤裁判長)で結審した。判決は10月30日に言い渡される。

 国はこれまで除外の理由について、朝鮮学校を支給対象とする根拠規定を削除したことと、その規定の下に設けられた学校指定の基準となる規程に適合しなかったことの2点を挙げ、主たる理由は後者だと主張。原告側は、除外の理由は前者であり、拉致問題という政治外交上の配慮で行われた根拠規定の削除は、子どもの学習権を保障する無償化法の趣旨に反しており、違法だと主張してきた。

 26日には第2回口頭弁論が行われ、原告側は根拠規定を先に削除した時点で存在しない下位規程に基づく判断は除外の理由になり得ないとして「二つの理由は両立せず、根拠規定の削除が理由なのは明らか。下位規程に依拠して除外を適法とした原判決は誤りで、取り消されるべきだ」と意見陳述した。

 根拠規定の削除を巡っては、昨年9月の一審東京地裁判決はその適法性についての判断を回避。下位規程に基づいて、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との関係から「学校運営の適正さに十分な確証が得られなかった」との国の主張を追認し、原告の請求を棄却していた。

控訴審の結審を集会で報告する原告側弁護団=衆院第一議員会館

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