~鉄・路をゆく~第4回【近鉄最古路線 道明寺線】

~鉄・路をゆく~第4回【近鉄最古路線 道明寺線】

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近鉄道明寺線は、大阪府藤井寺市道明寺駅とJR関西本線と接続する柏原市柏原駅を結ぶ、2.2Kmの単線である。日中は3往復程度の運転本数だが、大和川を跨いで藤井寺市・羽曳野市⇔柏原市双方を直接結ぶ唯一の路線であるため、通勤や通学などの重要な役割を担っている路線である。起点の道明寺駅周辺には寺社や古墳など、歴史を感じさせる街並みが見られる。

近鉄道明寺線の起点である道明寺駅。1898年(明治31年)3月24日、河陽鉄道として柏原駅から現南大阪線古市駅まで開通した際にできた駅であり、近鉄では最古の駅の一つである。

大阪ミナミと呼ばれるエリアにあるJR天王寺駅前の阿部野橋駅から準急で約25分。

道明寺線道明寺駅名板。道明寺線の識別イニシャルは「N」となっている。

道明寺線は1番線からの発車。
車両は1999年からはワンマン運転対応の6432系2両編成が使用されている。
(全般検査時等は他の6400系が入ることもある。)

撮影時は16時ぐらいだったが、古市方面から乗り換える学生が多く見られた。

道明寺線の起終点。左側は保線基地。

古市側の踏切あたりから広々とした構内・保線基地が見渡せる。
ちなみにこの車両は線路の下にある石(バラスト)を運搬する車両。松山重車輌工業株式会社製。

大阪阿部野橋方面を望む。
駅奥のカーブは南大阪線内で最も急なカーブであり、40km/hの制限速度がかかっている。

古市方面を望む。左の線路が南大阪線と接続する。
現在直通列車はなく、道明寺線車両の送り込み時と保線車両を南大阪線に通す際に使用される。

駅前にある周辺案内図。近くに道明寺天満宮があり、絵馬をイメージさせるデザインである。

道明寺駅周辺に建つ、参道脇の石燈。

道明寺駅から西へ約400メートル(徒歩5分ほど)にある、道明寺天満宮。

拝殿。菅原道真ゆかりの地ということで、道明寺は学問の神として信仰を集めるようになり、現在まで地元の人々に親しまれている。
右手のジャンボ絵馬は、毎年12月半ばに翌年の干支に交換される。

道明寺天満宮を南に200メートルほど歩くと右手に現れる、「古代道明寺五重塔礎石」。
天正3年(1575)、織田信長による古市高屋城攻めによって焼亡した五重塔の跡。

道明寺天満宮から道を挟んだ西にある道明寺。真言宗御室派の尼寺。

元々は先の道明寺天満宮境内にあったが、1872年(明治5年)の神仏分離にさいし、現在の地に移転した。
国宝木造十一面観音菩薩立像は毎月18日と25日に御開帳され、拝むことができます。

ちなみに道明寺糒(ほしい)をひいて粉にした道明寺粉は、ここ道明寺で最初に作られ、保存食として使われたのが起源。
関西風の桜餅(写真)やおはぎ、椿餅などに使用されている。(この後おいしく頂きました。)

柏原駅口。駅舎はJR西日本のものである。
読みは「かしはらえき」。JRにはその他読みが違う駅が存在し、福知山線の柏原駅(かいばらえき)、東海道本線柏原駅(かしわばらえき)がある。

近鉄道明寺線は1番乗り場を使用。

1番線道明寺線終端を望む。
JRと線路幅は同じ(近鉄南大阪線・長野線・御所線・吉野線、そしてこの道明寺線はJRと同じ線路幅1067ミリ)だが、線路は繋がっていない。

同一ホームでJR関西本線天王寺方面へ乗り換えができるが中環改札はなく、道明寺線を利用するICカード利用者はこの端末に乗降時か必ずかざさなくてはならない。(かざさないと目的駅で改札を抜けることができない。)

近鉄道明寺線唯一の中間駅である柏原南口駅。
開業当初は「大和橋駅」と名乗っており、大和川対岸のあたりに駅があった。

1924年(大正13年)6月1日 に路線の電化と同時に現在の地に移転。

右手前は三重県四日市市と大阪市北区の梅田新道交差点をつなぐ国道25号線。

大和川鉄橋を往く6432系。

鉄橋の東側に並行する人道橋から。

反対方向の先には近鉄大阪線を望むことができる。

鉄橋下の河川敷からもこのような眺めが見られる。

撮影:稲葉訓也

撮影日:2018年06月01日(土)

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