十八銀・FFG統合計画 借り換え総額 前回上回る 取引先意向の再調査で

 経営統合を目指す、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)と十八銀行(長崎市)が、県内取引先を対象に実施した借り換え(債権譲渡)意向の再調査結果がほぼ固まり、総額は500億円を上回ったもようだ。近く他の金融機関に対し、どれだけ受け入れ可能か正式に打診する。内容は公正取引委員会(公取委)に定期的に報告しており、統合審査は大詰めを迎える。
 昨年5月の前回調査では、十八銀とFFG傘下の親和銀行(佐世保市)の取引先500社を抽出。他の金融機関への譲渡可能額は500億円程度にとどまり、統合すれば県内市場の寡占化を問題視する公取委の想定とは隔たりがあった。今回は対象を全取引先約1万6千社に拡大。5月8日から個別訪問と説明を始め、借り換え意向があるか尋ねた。
 関係者によると、借り換えの希望先として挙がったのは、長崎銀行(長崎市)を傘下に置く西日本フィナンシャルホールディングス(FH、福岡市)を中心に、県内に支店のあるメガバンクや地銀などだった。
 FFGと十八銀は、借り換えを希望した企業の所在地や金額などのリストを公取委に提出。引受先となる金融機関にも大筋の金額を伝えており、近々さらに詳細なデータを示す。各金融機関の審査は7月いっぱいかかるとの見方もある。
 公取委は、県内融資シェアが高いほど競争が実質的に制限され、顧客にとって十分な選択肢が確保されなくなると警戒。審査は開始から2年余りと長期化し、統合は無期限延期となっている。銀行側が借り換えの総額を積み増すことができればシェアは下がる。
 今後、公取委は引受先の金融機関にも聞き取り、競争環境が担保されるかどうか見極める。一方で、統合承認の判断基準について「シェアが全てではなく、『何パーセントに下がれば認める』という数字もない」(山田昭典・公取委事務総長)としており、FFG、十八銀側から最終的に示される問題解消措置を注視する構えだ。

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