茅ケ崎、鎌倉の住宅6件違法 偽建築士問題、入居済みも

 建築士の資格がない男性が実在する2級建築士をかたって住宅設計を請け負っていた問題を巡り、対象55件のうち少なくとも神奈川県茅ケ崎、鎌倉市内の計6件が建築基準法に不適合だったことが28日、両市などの調査で明らかになった。一連の問題で違法建築の発覚は初めて。一部は入居済みの物件だが、「直ちに耐震性に問題があるとは言い切れない」などとし、建築主に対し是正指導している。

 県などによると、これまでの判明分も含め15件は法適合が確認されており、残る34件は各自治体が引き続き確認を進めている。

 不適合が判明したのは、茅ケ崎市の5件と鎌倉市の1件。いずれも木造2階建てで、柱と梁(はり)の接合部に使う金具が同法に定められた通りに設置されていなかった。大きさを満たしていないほか、固定するくぎの長さや本数が不足しているケースなどがあり、強度不足が懸念されるという。

 茅ケ崎の4件はすでに入居しており、鎌倉の物件は住宅か別荘とみられる。建築主から提出された図面や工事過程を記録した資料などを各市の担当者が確認したところ、不適合が発覚。両市はすでに建築主に対する是正指導に着手しており、7月末までに是正計画書の提出を求めている。

 一方、平塚市の2件と茅ケ崎市の別の5件は同法に適合していたことも新たに判明。横浜市(残り23件)や藤沢市(3件)、茅ケ崎市(残り7件)、東京都大田区(1件)も順次確認作業を進めている。

 同問題は4月に情報提供を受けた県が男性(51)に事情聴取したところ、建築確認や中間・完了検査の申請手続きを無資格で行っていたことを男性が認めて発覚。関係市の調査結果を踏まえ、5月7日に表面化した。

 建築基準法では、建築士が設計、工事監理で建物の仕様や耐震性などを確認している場合は自治体や検査機関の審査が一部省略される。県は建物の安全性確認を最優先に対応しているが、男性の法的処分も視野に背景などを調べている。

茅ケ崎市役所

© 株式会社神奈川新聞社