日新製鋼、ニオブ添加の耐摩耗鋼板を開発 柔軟・強靭を両立、拡販へ新ブランド「タフスター」立ち上げ

 日新製鋼は28日、鋼板の母材中に硬質なニオブ(Nb)炭化物を微細に分散させて、耐摩耗性を飛躍的に向上させたNb添加鋼を開発したと発表した。一般的にNb添加は靭性や耐食性などの向上を目的とする。鋼中に分散した硬質粒子(Nb炭化物)により耐摩耗性を向上させた特殊鋼鋼板の商品化は業界初とみられる。加工時の柔軟性と加工後(熱処理後)の強靭性を両立できるのも特徴で、機械部品、刃物など幅広い用途で拡販を図る。熱処理後のビッカース硬さは600~750HV程度になる。

 Nb添加で耐摩耗性を向上する知見はかねて持っていた。新鋼種は特殊鋼2種類とステンレス1種類で、いずれもアブレッシブ摩耗(硬い材料や硬質粒子による削り取り)や凝着摩耗(摩擦凝着・剥離による削り取り)に効果があり、チェーンや繊維機械部品などの摩耗損傷を低減する。冷延材でも熱延材でも供給でき、特殊鋼鋼板は大阪製造所、ステンレス鋼板は周南製鋼所で生産する。

 新開発のNb添加鋼と既存の合金工具鋼、高マンガン鋼を組み合わせ耐摩耗性に優れる特殊鋼の新ブランド「タフスター」を立ち上げた。耐摩耗鋼の新ブランドを立ち上げることで、独自の機能・特性を持つ特殊鋼製品の認知度アップと他社製品との差別化も図る。

 新ブランドはNb添加鋼「N50CRN」「NC85UN」「NSS WR―1」、合金工具鋼「NKSシリーズ」、高マンガン鋼「IRS2」で構成する。

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