環境省、グッドライフカンファレンス開催

環境省は「第6回グッドライフアワード」募集開始後の6月26日、グッドライフカンファレンスを都内で開催した。同アワードは、企業・学校・NPO・自治体・地域・個人による「環境と社会によい暮らし」に関わる取り組みを表彰することで、日本人一人ひとりがライフスタイルを見直すきっかけになることを目指す。カンファレンスでは、過去の受賞企業3社による事例紹介も行われた。(オルタナ編集部=中島 洋樹)

グッドライフアワードでは、環境大臣最優秀賞をはじめ、17の各賞が授与される 。

過去の受賞企業による事例紹介では、CHIKAKENの三城賢士共同代表が竹を加工して灯りをともすオブジェ「竹あかり」を紹介した。近年放置された竹林で厄介者扱いされている竹を利用することで、竹林の整備につながる。使用した後は、竹炭やたい肥にすることで土に返すことにより環境サイクルが生むことが可能となった。

国内だけでなく、フィリピンなど海外にも「竹あかり」を展開し、好評を得ているという。三城共同代表は「事業が軌道に乗り、竹あかりの収益で会社を運営していくことができるようになった」と話す。今後の目標は「竹あかりを日本の文化にして、地元の熊本に竹のテーマパークを作ること」と語る。

東京チェンソーズの青木亮輔代表取締役は、東京で林業を営む同社の取り組みを説明した。現在、東京の森林率は36%であり、面積の約4割を森林が占める計算になる。しかし残念ながら、後継者、人手の不足により森林の維持管理が行き届かなくなっている。

こうした状況を改善すべく、同社は設立された。理念は「東京の木の下で 地球の幸せのために、山のいまを伝え、美しい森林を育み、活かし、届けます。」。3本の苗木を30年で成木にし、1本を残し2本を伐採し木製品に加工する森林育成プロジェクトが柱だ。これをもとに、「東京美林倶楽部」を立ち上げた。「森林を維持することで、地球環境の保全をはかっていきたい」と青木代表は述べた。

最後にスターバックスコーヒージャパンのサプライチェーン本部品質保証部店舗衛生・環境推進チームの普川玲チームマネージャーが登壇。同社のコーヒー豆かすの再利用について解説した。同社ではコーヒー豆かすを以前はすべて廃棄処分していたという。しかし、フードロスが社会問題として提起されるようになった昨今、再利用方法を模索していた。

乳牛の飼料として、通常の飼料に混ぜてコーヒー豆かすを与えたが、焙煎時の臭いが乳牛の嫌うものだったため食べようとしなかった。そこで、酵素利用の経験が豊富なメニコンと協働し、焙煎の臭いを数種類の乳酸菌を用いて消し去ることに成功した。

店舗からコーヒー豆かすを回収し、リサイクル施設で消臭処理を行い飼料化する。それを通常飼料に5%混ぜ乳牛の飼料とする。「飼料を食べた乳牛から搾乳された牛乳を同社のラテやフラペチーノに使用する一連の流れができた」と普川マネージャーは語った。

講演後、環境省 大臣官房 計画環境課の山田哲也計画官から、改めてグッドライフアワードへの参加呼びかけと現在取り組んでいる第五次環境基本計画の概要説明が行われた。終了後、交流会が行われ、カンファレンスは盛況のうちに幕を閉じた。「第6回グッドライフアワード」の募集は6月18日から9月24日まで行われる。

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