日本決勝T進出 「頑張れ!麻也」 長崎から熱い声援 後援会事務局「レッケル」 地道に応援の輪

 サッカー・ワールドカップ(W杯)で、日本代表が決勝トーナメント進出を決めた29日。守備の柱として活躍した長崎市出身の吉田麻也選手(29)の後援会事務局を兼ねる同市松ケ枝町の飲食店「レッケル」は、多くのファンで盛り上がった。代表の松島伸一さん(51)は「8年前に開店した時から、この店は麻也とともにある。もやもやする試合だったけれど、楽しみが伸びた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
 吉田選手はJリーグ名古屋の下部組織に入団するため、中学から故郷を離れた。高校卒業後にプロ選手になったが、そのころの県内の認知度はいま一歩。松島さんは「地元の長崎から応援しよう」と、現在の後援会長を務める横田祐治さん(60)らと一緒に、手作りの名前入りチラシを配ってアピールを続けた。松島さんは苦笑いしながら当時を懐かしむ。「麻也が北京五輪に出場した2008年は、女子選手と間違われよったもんね」
 10年5月、店のオープンと同時に「後援会事務局」の看板を掲げた。当時、オランダのクラブに所属していた吉田選手が、オランダ語で「おいしい」を意味する店名をつけてくれた。その年のW杯南アフリカ大会。けがで帰省していた吉田選手と一緒に店内でテレビ観戦した。「次はおまえの番ぞ。あそこにおらんば」と励ますと、黙ってうなずいていたという。それからは海外で存在感を増し、14年ブラジル大会、そして今年のロシア大会に出場した。
 日本代表の試合があるたび、店内でファンらとテレビ観戦してきた。経営が苦しく「辞めてしまおうか」と思った日も「麻也の顔に泥を塗りたくない」と踏ん張ってきた。「どうやったら会員になれますか」と聞いてくる人には「麻也を応援してくれる人はみんな会員」と伝え、会費などは取らなかった。ただ純粋に、応援の輪を広げていった。
 「麻也が引退するまで看板は下ろさない」。これからも、生まれ故郷からエールを送り続ける。

「麻也頑張れ!」と熱い声援を送る松島さん=長崎市、レッケル

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