ブロック塀点検 8高校で違法疑い、川崎でプール使用中止

 大阪府北部地震を受けたブロック塀の緊急点検で、県教育委員会は29日、少なくとも県立高8校で「安全上問題があると見込まれる」ケースが判明したとする中間報告を公表した。直ちに撤去が必要なレベルの損傷は見つかっていないが、建築基準法違反が疑われる可能性があるという。

 県教委によると、県立学校172校のうち、ブロック塀があるのは高校24校、特別支援学校2校の計26校。このうち16校の計61カ所を建築士資格がある技術職員が調べたところ、27日現在で高校8校(24カ所)で「対応が必要」と判断した。

 24カ所では、強度を補う「控え壁」の間隔が同法の基準(3・4メートル以内)を満たしていないケース(20カ所)や、高さが基準(2・2メートル)を上回るケース(3カ所)などが確認された。いずれのブロック塀も周辺にパイロンを置くなどし、生徒らが近づけない措置を講じている。残る10校も技術職員による調査を進めているという。

 一方、県は、庁舎や県民利用施設(県立学校含む)など計1783施設で、ブロック塀をはじめ全ての囲いの調査を進めており、これまでに48施設でブロック塀が設置されていることを確認した。ひび割れや破損、傾斜といった劣化・損傷の状況を目視で調べ、必要に応じて撤去や補強などの対策工事を実施するとしている。

川崎2小学校 類似形状の塀 プール使用中止に

 大阪府北部の地震でブロック塀が倒壊し、登校中の女児が死亡した高槻市の現場と類似した形状の塀が、川崎市立小学校2校にあることが29日、分かった。いずれもプールの目隠しとしてブロック塀を使用しており、一部が公園や公道に面している。2校は危険性が疑われるとして、同日からプールの使用を中止した。

 市教育委員会によると、高槻市の小学校と同様にコンクリートの土台の上にブロック塀を使用していたのは、南河原小(幸区)と梶ケ谷小(高津区)。

 南河原小の塀は高さ4・05メートル。1・3メートルのコンクリートの土台に1・2メートルのブロック塀が乗っており、さらに金属製のフェンスが設置されている。全長は約55メートル。

 梶ケ谷小は高さ3・4メートルで、1・7メートルのコンクリート土台に1・2メートルのブロック塀が積まれ、その上に有刺鉄線が張られていた。全長は約80メートルだった。

 2校とも設置時期は不明で、塀の倒壊を防ぐ控え壁はなかった。川崎市教委は「建築基準法に適合しているか今後精査する」と説明。専門家による非破壊検査で鉄筋の有無などの安全性を確認する方針だ。

 市教委は22日から27日にまで、敷地内にブロック塀がある小中高校など計57校について目視調査を実施した。

危険性が疑われる川崎市立梶ケ谷小のブロック塀。カラーコーンで注意を促している =市教委提供

© 株式会社神奈川新聞社