長時間労働「1人で悩まないで」 弁護士が注意点を紹介

 長時間労働とブラック企業をテーマにした講演会が28日、横浜市金沢区の関東学院大学で行われた。労働審判に携わり、労働問題に関する著書も多い弁護士の新村響子さんが「国内の自殺者総数は年々減少傾向にあるが、勤務問題が原因で自殺する人は減っていない」と問題の深刻さを訴えた。

 新村さんは自身が関わった大手運送業者の訴訟を例に挙げて説明。30代の従業員が突然の賃金カットと不当な配置転換を受け、労働組合に入って勤務先の会社を提訴。それにより会社の信用を傷つけ、損害を与えたとして懲戒解雇処分とされた。その処分などをめぐって約3年間、裁判を行い、最終的に和解した。新村さんは「1人で抱え込まず、専門家に相談してほしい」と呼び掛けた=写真。

 また、ブラック企業を見分ける際に確認したいポイントとして、入社3年以内の離職率、過労死・過労自殺を出していないか、残業代が固定されていないかなどを挙げた。新村さんは「ブラック企業について知識を得ることも大切だが、労働者を守る法律があることも併せて知ってほしい」と話している。

 講演を聴いた経済学部3年の男子学生(21)は「ブラック企業が世の中にこれほどあるとは思わなかった。来年就職活動をするが、採用された会社をよく確認してから入社したい」と話していた。

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