“宮殿”華麗なる航跡 フランス客船「ノルマンディー」 横浜で資料120点展示

 フランスの文化や美食を紹介する「横浜フランス月間」の関連イベントとして、横浜市西区みなとみらいの横浜みなと博物館で30日、所蔵品展「豪華客船ノルマンディー 大西洋航路最速をめざして」が始まった。戦前の客船としてはタイタニック号に次いで有名とされるが、国内での認知度は低い。収集家の遺族から寄贈された関連資料を初めて一堂に公開、その“航跡”を紹介している。8月26日まで。

 フランスで建造された客船ノルマンディーは、1935年に米ニューヨークと結ばれた北大西洋航路に就航した。全長313メートルは当時では世界最大級、優雅な姿は「洋上の宮殿」と称された。流線形の船体設計や最新の推進装置などの高い技術力で、4日と3時間2分で横断する最速記録を打ち立てた。

 今回の特別展は、同博物館と交流があり2006年に亡くなった収集家・鈴木五郎さん=横須賀市=の遺族から09年に寄贈された5千点以上の資料から、厳選した約120点を初めて公開した。

 フランス大統領夫妻が列席した進水式や、天井までの高さが8メートルで700人収容可能な豪華な内装のダイニングルームなどの写真のほか、パンフレット用の船内断面図、乗船記念の絵皿、荷物タグ、船内紙などを展示している。

 ノルマンディーは欧米旅行者の人気を獲得したが、10年に満たない短い期間で姿を消す。第2次世界大戦の影響で、1939年にニューヨーク港で帰航を中止後に接収され、42年に軍輸送船への改装中に火災が発生して横転、その後解体された。

 奥津憲聖学芸員は「国内ではあまりなじみのない、客船の黄金時代に活躍したノルマンディーの魅力を知ってほしい。乗り物が好きな子どもたちでも楽しめます」と話した。

 所蔵品展に絡み、「ノルマンディーの光と影」と題した海事史家・野間恒さんの記念講演が8月4日に行われる。参加費500円で事前申し込みが必要。

 入館料は大人200円、小中高校生と65歳以上100円。問い合わせは、同館電話045(221)0280。

出港するノルマンディー(横浜みなと博物館提供)

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