遠藤周作文学館リニューアル 長崎 海を望む思索空間

 作家、遠藤周作(1923~96年)に関する資料を展示する長崎市遠藤周作文学館(同市東出津町)が1日、リニューアルオープンした。旧喫茶室「アンシャンテ」が、雄大な海を眼下に、遠藤文学の世界に浸ることができる思索空間に生まれ変わった。
 同館は、遠藤の代表作「沈黙」の舞台とされる同地に、2000年5月に開館。その生涯を紹介するパネルや、愛蔵品、著作、原稿などを展示している。
 「アンシャンテ」はフランス語で「はじめまして」の意味。思索空間は、遠藤文学を表象する母胎、教会などのイメージで監修された。落ち着いた色彩に塗装したスギ材を使用。角力灘を望む窓に向けてカウンターと椅子が配置され、風景美を楽しみながら、遠藤の言葉や、人生に思いを巡らせることができる。
 常設展示と企画展示もリニューアルされた。企画展のテーマは「遠藤周作“愛”のメッセージ」。物語中の「愛」を体現する登場人物を紹介しているほか、遠藤が妻順子さんに贈った、手書きメッセージ入り「沈黙」の初版本、家族からの手紙などを展示している。
 「周作クラブ長崎」の会員、月川沢子(たくこ)さん(60)=同市野母町=は、「アンシャンテは温かみがあり、一人でいても孤独を感じない。落ち着いた空間になっていてよかった」と話していた。
 企画展示の会期は2年間の予定。

角力灘を望む「思索空間アンシャンテ」=長崎市、遠藤周作文学館

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