中日田島、巨人カミネロら不振…今季は"受難"の年? 12球団クローザー事情

楽天・松井裕樹(左)、中日・田島慎二

29日には巨人カミネロ、ロッテ内が救援に失敗した

 現代野球において、チームの勝利にとって不可欠な存在の1人であるのがクローザー。例えば、昨季シーズン記録となる54セーブをマークしたソフトバンクのサファテのような鉄壁の守護神がいるチームはやはり強い。リードを奪って9回を迎えれば、高い確率で勝利を掴むことが出来るし、ゲームプランも組み立てやすい。

 チームの「守護神」と言われるクローザーだが、ここにきて、各球団のクローザーの“受難”が続いている。27日に沖縄で開催されたソフトバンク対日本ハム戦では、サファテに代わって抑えを任されている森唯斗が2点リードの9回にサヨナラ押し出し四球を与えるなど、一挙に3点を失って痛恨の逆転負けを喫した。

 翌28日には、中日の田島慎二が2点差の9回に大量5失点。最後は山田哲人にサヨナラ3ランを浴びた。田島は24日のDeNA戦でも敗戦投手となっており、2戦連続での救援失敗。現在、防御率はなんと6.00まで悪化し、守護神の座を剥奪、配置転換となった。

 さらに29日、巨人は2点リードの9回にマウンドに上がったカミネロが平田にソロを浴び、さらに高橋に二塁打を浴びたところで降板。後を受けた澤村拓一も流れを止められずに、痛恨のサヨナラ負けを喫して、この時点で痛恨の5連敗。カミネロの防御率は5.79まで跳ね上がり、30日に登録抹消に。抑えはマシソンが務めるようになった。

 福岡では29日にロッテの内竜也が炎上。2点リードの9回に登板すると、相手のバント失敗による併殺がありながらも、4安打を集められて一挙に3失点。最後は上林にサヨナラ適時打を浴びた。その後の2試合は快投でセーブを挙げたが、痛い敗戦だった。また、DeNAの山崎は28日の阪神戦で救援に失敗して敗戦投手に。翌29日の広島戦では同点の9回に登板。無失点だったものの、1死満塁のピンチを招き冷や汗をかく展開だった。

セ・リーグで光るのはヤクルト石山の存在

 今季の各球団のクローザー事情を見てみよう。まずはセ・リーグから。

【セ・リーグ】
広島
中崎翔太 31試合0勝0敗3ホールド20セーブ 防御率2.37

ヤクルト
石山泰稚 32試合2勝0敗6ホールド13セーブ 防御率1.56

阪神
ドリス 26試合1勝3敗1ホールド17セーブ 防御率3.55
 
DeNA
山崎康晃 28試合2勝2敗2ホールド16セーブ 防御率1.29

巨人
カミネロ 20試合1勝1敗2ホールド11セーブ 防御率5.79
 ↓
マシソン 23試合0勝2敗14ホールド2セーブ 防御率2.28

中日
田島慎二 28試合0勝4敗1ホールド15セーブ 防御率6.00

 ヤクルトの石山、DeNAの山崎の成績は上々だ。特に石山はまだ黒星なし。防御率も1点台を維持しており、チームの交流戦最高勝率にも大きく貢献した。広島の中崎も無敗で、防御率2.37。阪神のドリスは3敗、防御率3.55と安定感に欠ける。すでに抹消されたカミネロ、そして、田島は厳しい数字で、中日は田島の代役を祖父江や岩瀬、鈴木博らが日替わりで務めることになりそう。巨人は1日の中日戦は3点リードの9回にはマシソンが登板し、きっちり抑えた。

【パ・リーグ】
西武
増田達至 26試合0勝4敗2ホールド11セーブ 防御率4.91
 ↓
カスティーヨ 16試合(12先発)6勝4敗1ホールド1セーブ 防御率4.22

日本ハム
石川直也 31試合1勝2敗15ホールド6セーブ 防御率2.93
 ↓
トンキン 30試合3勝1敗9ホールド12セーブ 防御率1.86
 ↓
有原航平 11試合(7先発)4勝2敗1ホールド2セーブ 防御率6.41

ソフトバンク
サファテ 6試合1勝0敗0ホールド5セーブ 防御率3.00
 ↓
森唯斗 32試合0勝3敗3ホールド16セーブ 防御率4.03

オリックス
増井浩俊 36試合1勝0敗6ホールド21セーブ 防御率1.64

ロッテ
内竜也 35試合1勝3敗4ホールド19セーブ 防御率3.09

楽天
松井裕樹 24試合0勝5敗5ホールド2セーブ 防御率5.01
 ↓
ハーマン 27試合1勝1敗9ホールド7セーブ 防御率1.38

パ・リーグはそれぞれの事情で4球団で守護神交代となっている

 パ・リーグは今季、怪我人や不振などで4球団でクローザーが替わっている。その中で輝くのはオリックスの増井だ。ここまで負けなしで、リーグトップの21セーブ。防御率1.64とし、開幕から安定したピッチングを見せている。ロッテの内も開幕から抑えを務めているが、既に3敗、防御率3.09とやや苦しい成績だ。

 西武は増田の不振に伴い、先発だったカスティーヨを抑えに配置転換。そのカスティーヨも、1日の楽天戦で9回に同点とされるなど安定感を欠いている。日本ハムは開幕当初は石川直が、その後は新助っ人のトンキンが抑えを務め、先発から配置転換された有原を経て、現在は再び石川直を配置。日本ハムはその時々の状態や、将来の育成なども考えた臨機応変な起用となっている。

 ソフトバンクはサファテが股関節の手術を受けて離脱し、森がその代役を務めているが、ここまで3敗、防御率4.03。走者を背負う投球が続いている。最年少100セーブに迫っていた松井裕は今季開幕から大不振。5敗を喫し、クローザーからセットアッパーに配置転換、さらには再調整のために2軍降格となっている。

 試合を締めくくる役割であるクローザーは、とてつもないプレッシャーの中で投げなければならず、厳しいポジションである。だからこそ、鉄壁の守護神がいるチームは強い。セパ両リーグともに大混戦となっている今季のプロ野球。各リーグで抜け出してくるチームはどこか。そのためには、抑えの安定も1つの重要な要素になってきそうである。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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