金属行人(7月2日付)

 「株は買うな」と注意されたことがある。インサイダー取引につながる恐れがあるからで、筆者も株は持っていない。そのためか株の仕組みには少々疎くなる▼株を買う際の参考指標の一つが配当性向。日本企業の配当性向は30%がおおよそ標準とされ、日本の鉄鋼メーカーもこの水準が目立つ。それでは海外のメーカーはどうだろう。韓国ポスコの年間配当総額は630億~640億円で推移する。業績が良くても悪くても一定で、2017年12月期の配当性向は22・9%だったが、14年はおよそ2倍、15年は4・5倍の配当性向で、純利益を上回っても最終赤字であっても一定額を配当している▼中国・宝山鋼鉄は50%以上の配当を原則としているようだが、15年には約98%の配当性向だった。台湾・中国鋼鉄(CSC)は原則として配当性向75%となっている▼日本企業の配当は欧米企業に比べ低いと指摘される。それは「働いた人により多く還元されるべき」との考え方が強いから、と指摘する人もいる。これは昨今の人手不足からより強まっていると感じる。会社の利益はどう使われ、還元されるべきなのだろうか。株に疎い私には分からないが。

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