【きらり光るウーマンパワー】〈溶断現場に情熱注ぐ、徳和鋼材・上野育美さん〉「モノづくりに憧れ」

 栃木県の建材型厚板溶断業、徳和鋼材(本社・真岡市勝瓜、社長・田爪崇洋氏)の中核拠点である益子工場(芳賀郡益子町)の構内で現場作業に精を出す若き女性が1人。

 男性所帯の溶断現場に清々しい花を咲かせる紅一点は、今年6月1日に入社した上野育美(うえの・いくみ)さん。同社が現場スタッフを募集した際に「工場勤務希望」で応募してきた。面接で「明るく若さにあふれ、実に積極的でやる気を感じた」と言う田爪社長の〝お眼鏡〟にかない、採用となった。同社初の女性オペレータである。

 鉄とは無縁の業界から転身。もちろん工場経験も無い。それでも「もともとモノづくりに憧れ、その世界に携わりたくて」と溶断業の門をくぐった。

 〝モノづくり〟というと板金、製罐や最終アセンブリをイメージしがち。なぜ鋼材一次加工業に?と聞けば「最終セット製品をつくるための最初の工程がいちばん重要だし、そこがしっかりできなければ良いモノづくりができないから」と。

 この考えは、徳和鋼材が信条とする『お客様の前工程』(客先の前工程=ファーストオペレーションこそが製造の原点)に合致する。

 だからこそ「自分のスキルを高めて(モノづくりに)貢献したい」と抱負を語る。

 いまは先輩の指導のもと、アイトレーサを操り端材から切板製品をガス溶断加工する任務を任されている。「熱心だし、のみ込みはいいですよ」と田爪社長も太鼓判を押す。

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