気を緩めずに

 パラパラと1年ほど前の小欄の切り抜きノートをめくってみる。雨について書いた日が多い。長雨の折、晴れ間が待ち遠しい-と季節をつづったものではない。予想の及ばない局地的な大雨と、非情な豪雨のことを記している▲昨年の7月4日、長崎市付近に台風3号が上陸し、通勤通学の時間帯を暴風雨が襲った。小型の台風だからと高をくくっていたら、土砂崩れ、停電、休校と影響が広がった、と小欄に書いている▲翌5日から6日にかけて、福岡、大分両県を記録的な豪雨が襲った。山あいの集落が土砂にのまれ、関連死を含め40人が亡くなり、2人の行方がなお不明。もう1年になる▲このとき「大雨特別警報」が九州で初めて出された。「これまでに経験したことがないような大雨により、命に関わる重大な災害の危険性が高まっているとき」に出される警報である。記録的な、未経験の、差し迫った、異常な…。やたらと耳にするはずのない言葉に近年、なじんでしまったような気もする。気を引き締めたい▲そう思った矢先、また一つ、暴風雨が迫ってきた。強い台風7号は、きょう3日の午後、九州北部に最接近の見通し。どうか警戒を抜かりなく▲梅雨の後期、狭い地域で、短時間に集中する豪雨もある。空を仰ぎ、気構えを怠れない日々が続く。(徹)

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