JFEスチール北陸、富山電気ビルディング耐震補強工事で座屈拘束ブレース納入へ

 JFEスチール北陸支社(支社長・尾畠和彦氏)はこのほどグループ会社のJFEシビルと連携し、富山電気ビルディング(富山市桜橋通り)の耐震補強工事の一部において座屈拘束ブレース「二重鋼管座屈補剛ブレース」の設計織り込みに成功した。

 類似の「KTブレース」を含め北陸地区における採用は、本願寺富山別院や富山県農協会館、高岡商工会議所商工ビルをはじめ10件以上の実績がある。

 二重鋼管座屈補剛ブレースは円形鋼管を二重に使用した引張・圧縮構造部材。従来のH形鋼ブレースに比べ開口率や意匠性の高さが特長。また鋼管の端部を「クレビス」と呼ばれる接合部材を介してピン接合または高力ボルト接合とすることで溶接が不要なことから、狭いスペースでの作業性も良い。

 今回の工事ではピン接合タイプの同ブレースを既存躯体の内側に取り付けられた鉄骨枠に設置することで強度と靭性を向上させる。

 採用されたのは富山電気ビルディング本館。1936(昭和11)年に竣工し45年の富山大空襲の戦火に耐え、第二次大戦後は米軍が接収。58年には昭和天皇・皇后両陛下が宿泊されるなど歴史ある建築物。

 鉄筋コンクリート造地上5階建て(一部6階)のうち、1~3階フロアで6セットが設置される。一連の耐震改修工事は8月から順次開始し、2021年6月をめどに完了する計画。

 この本館には中・大ホールやレストラン、事務所、会議室などが入り、鉄鋼関連では3階にはJFEスチール北陸支社、JFE鋼板北陸営業所、1階にはJFEエンジニアリング富山支店が入居している。

 ブレースが設置されるJFEスチール北陸支社では工事完了後も壁などで隠さず見えるようにし、来訪者に製品をPRすることにしている。

 同グループでは今後も新築、改修向け双方で二重鋼管座屈補剛ブレースやKTブレースなど耐震・制振デバイスのPR、並びに受注拡大を目指す考えだ。

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