新日鉄住金、室蘭製鉄所を拡張 「鉄源供給基地」へ体制強化、港湾埋め立てで12ヘクタール増

 新日鉄住金棒線事業部室蘭製鉄所(執行役員所長・米澤公敏氏)は2日、2016年3月から進めていた構内の室蘭港・仲町地区公有水面埋め立てによる造成工事完了に伴い竣功式を開催した。今回の埋め立てで同所の敷地は約12・2ヘクタール拡張し、主に半製品などの鋼材置き場として利用。鉄源供給基地としての体制を強化した。総事業費は十数億円規模。

 室蘭製鉄所は16年秋からフル生産で粗鋼生産年間140万トン体制を継続している。このため構内の用地不足により今後の生産計画に支障が出かねない状況だったことから、事業用地の確保を目的に室蘭港本輪西地区の中卯埠頭一帯を埋め立て、敷地を拡張した。

 折しも20年度末に計画されている八幡製鉄所小倉地区の高炉休止に伴い、室蘭は八幡への鉄源供給基地としての役割を担うことから、今回の用地拡張でビレットなどの半製品置き場を確保し鉄源供給体制の強化を図った。同時に室蘭市から要請があった災害発生時の構内を使った迂回ルート確保などの安全防災対応や、既存岸壁の老朽化対応なども実施した。

 埋め立て工事に際しては室蘭市議会や地方港湾審議会の認可を経て着手。埋め立て材には公共工事で発生した土砂や火山灰のほか、鉄鋼スラグも使用。スラグはアルカリ成分が海水へ流出しないよう管理型護岸とし、止水材としても使用した。これによって製鉄所用地は12・2ヘクタール拡張し、合計で約433ヘクタールとなった。また、室蘭市も港湾計画を一部変更し、製鉄所構内へアクセスする臨港道路の既存市道を延伸した。

 竣功式で米澤所長は「20年度末から八幡へ供給するビレットの置き場として事業用地確保の必要性が高まっていた。今後も世界ナンバーワンの特殊鋼棒線基地として、ものづくりのまちである室蘭市の発展に貢献したい」と挨拶。出席した青山剛室蘭市長は「室蘭は製鉄所と共に発展してきた歴史を持つ。ものづくりのまちとして、これからも共に発展を目指したい」と語った。

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