金属行人(7月3日付)

 今年もはや半年が過ぎた。関東甲信では観測史上初めて6月中に梅雨明け。7月はいきなり真夏のような暑さとなっている。猛暑や台風といった荒天は鉄スクラップの荷動きに影響する。また7月は電炉メーカーが夏季減産期入り。鉄スクラップの内需減少につながる▼鉄スクラップ市況にとって7月は何かと変数が多い。今年はそこにもう一つ、ロシアの鉄スクラップ輸出停止という気掛かりな材料が加わる。7月20日からロシア政府が指定した9港以外での鉄スクラップ輸出を停止するというもの。輸出国である日本の需給には直接影響しないが、輸出先である韓国の需給を通じて影響が懸念されている▼というのも韓国はロシアから年100万トンの鉄スクラップを輸入しており、今回の指定港から韓国向け主力のウラジオストクとナホトカが除外されたからだ。輸出禁止措置が失敗した過去の例もあって韓国メーカーは半信半疑だが、現代製鉄や東国製鋼は7月中旬に現地調査を計画しているという▼仮にロシアからの鉄スクラップ輸入が停止となれば、韓国メーカーは米国や日本からのスクラップ調達を増やさざるを得ない。ロシアの輸出禁止は日本のスクラップ市況には強材料となる。先行き不透明ながら、ロシア極東の禁輸という〝変数〟には要注意だろう。

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