ETRC:第3戦ニュル。大観衆を前に地元シュティフィ・ハルムが1-2で快勝

 トレーラーヘッドたちの祭典、FIA欧州選手権格式のETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップの第3戦がドイツ・ニュルブルクリンクで開催され、土曜のレース2で地元ドイツ出身のシュティフィ・ハルム(IVECO)が、彼女のチームメイトであるゲルト・コーバーを従え勝利。チーム・シュワーベントラックスのドイツ人ペアが故郷でワン・ツー・フィニッシュを飾った。

 グランドスタンドを埋め尽くす大観衆が見守るなか、土曜レース1に向けたスーパーポールセッションを奪取したのは、スペイン人のアントニオ・アルバセテ(トラックスポーツ・ルッツ・ベルナウ/MAN)となり、昨季最終戦スペイン・ハラマ以来のポールポジションを獲得。4度の王座獲得経験を持つ“帝王”ヨッヘン・ハーン(ヨッヘン・ハーン・レーシング/IVECO)を0.024差で下し、最前列にトラックを並べた。

 同じくレース1でもタイトなバトルが繰り広げられるなか、ポールシッターのアルバセテは13周にわたり帝王からのプレッシャーに対応。チェッカーフラッグを0.8秒先行してくぐったアルバセテが、母国戦以来となる2018年シーズン初勝利をポール・トゥ・ウインで決め、2位ハーン、3位にノルベルト・キス(タンクプール24レーシング/メルセデス・ベンツ・トラックス)のリザルトとなった。

 続くレース2で先頭集団に躍進したのは、前戦を5位で終えていたハルムで、彼女の新たな相棒であるIVECOは、4周目の時点でリバースポールからスタートしたチームメイトのコーバーをロックオンすると、そのまま首位浮上に成功。

 その背後からは、同じくレース1で4位に入っている現役王者、アダム・ラッコ(バギラ・インターナショナル・レーシング・システム)のフレートライナーがドイツ人デュオに襲いかかり、コーバーはディフェンス役となってハルムを逃す展開に。

 この時点で、コーバーのIVECOはスタート早々からフロントガラスに異変が生じており、レース終盤にはキャビンに食い込むような形で破損が進行。ドライビングに対して集中力を削がれる状況のなか、ドイツのベテランは渾身のブロックに徹して王者の攻撃を退けると、無事に13周を走破。

 地元ドイツのチームであるシュワーベントラックスがトラックの聖地でワン・ツーを飾り、勝者ハルムは2016年以来となる母国ラウンド勝利を記録。同時に、昨季のMANからスイッチしたIVECOでの初勝利となった。

「チームにとって完璧なレースになったわ。スタートで前方の何台かが動きが鈍ったのを逃さず、前に出られたのが勝因だった」と笑顔で振り返ったハルム。

「前を行くゲルト(・コーバー)とは少し距離があったけど、とにかく懸命にプッシュを続けたの。だってミラーにはチャンピオン(のアダム・ラッコ)が迫ってきているのが見えたからね」

「私はゲルトにアタックすることは考えていなかったけれど、無線で彼の状態(フロントガラスの破損)を聞いてポジションを入れ替えたの。シュワーベントラックスへの移籍後初勝利を、こうしてワン・ツーで飾れて最高の気分よ」

 明けた日曜開催のレース3、レース4は、前日の最終レースでトップ10入りを逃していた“フォータイムス・チャンピオン”のハーンがスーパーポールセッションから意地のスパート。

 予選最速タイムからレース3を制して今季5勝目をマークし、選手権リードを42ポイントにまで拡大。続くレース4は、リバースグリッドの好条件を活かしたアンソニー・ヤニエック(ライオン・トラック・レーシング/MAN)が、ETRC初勝利を飾っている。

 続く2018年シリーズ第4戦は、東欧スロバキアリンクが舞台。7月14~15日開催の同イベントは、急遽週末のスケジュールに組み込まれたTCR規定ツーリングカーの最高峰、WTCR世界ツーリングカー・カップとの併催戦が予定されている。

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