中国人姉妹殺害、被告が無罪主張 地裁で裁判員裁判開始

◆検察「偽装結婚打診に立腹」

 中国人姉妹を殺害し、遺体を神奈川県秦野市の山林に遺棄したとして、殺人と死体遺棄などの罪に問われた無職の男の被告(40)=横浜市青葉区=の裁判員裁判が3日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で始まった。被告は「全て違います」と述べて起訴内容を全面的に否認し、無罪を主張した。

 検察側は冒頭陳述で、姉妹宅に侵入した被告がその場にいた姉をまず殺害し、2時間後に帰宅した妹も待ち構えて殺害したと指摘。姉妹宅のマンションの防犯カメラには被告が合鍵を使って侵入する様子と、遺体を詰めたとされるキャリーバッグを運び出す姿が写っており、「その間に姉妹宅を出入りしていたのは被告だけだった」とした。

 動機に関しては、被告が姉に好意を抱き、アルバイト先の飲食店を頻繁に訪れていた経緯を説明。「昨年6月に姉から偽装結婚の相手になってほしいと頼まれたことに腹を立て、2人とも殺害することを決意した」と述べ、ロープや遺体を入れる布団圧縮袋の購入など準備を進めたとした。

 弁護側は「姉妹は何らかの事件に巻き込まれたが、被告は関与していない」と反論。在留資格の切れる姉が他人に成りすまして日本に滞在する計画を立てたとした上で、被告は偽装の失踪騒ぎを起こすよう姉から依頼されて、協力しただけだとした。

 さらに、キャリーバッグには姉妹が自ら入ったと指摘。被告がバッグを自宅から運び出して成りすましを請け負う業者に引き合わせたが、その時点で姉妹は生きていたと主張した。

 起訴状によると、被告は昨年7月6日、横浜市中区の姉=当時(25)=と妹=当時(22)=宅に玄関から侵入し、2人の首を圧迫して殺害。2人の遺体をキャリーバッグに詰め込み、翌7日に乗用車で秦野市の山林まで運んで遺棄した、とされる。

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