イシグロさん「核の存在に危機感」 後世への継承にも言及

 【ロンドン=報道部・古瀬小百合】長崎市出身の英国人作家カズオ・イシグロさん(63)が3日、ロンドンで長崎新聞社などのインタビューに応じた。日本が被爆国でありながら、米国の「核の傘」に守られ、国連で昨年採択された核兵器禁止条約に署名、批准していないことについて「答える立場にはない」としつつ「核兵器の存在に危機感を覚える。今後は核廃絶を求める時代であり、私たちも求めたい」と述べた。
 一方、核禁条約採択に貢献した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が昨年、ノーベル平和賞を受賞したことは「とてもうれしい」と語った。
 被爆者の高齢化が進んでいることに関連し「アウシュビッツもそうだが、後世の人たちは被害に遭った人たちのことを理解しないといけない。後世が新鮮に感じられるようにこれまでと同じ方法で伝えるべきか、違う方法にすべきかは共通の課題だ」との認識を示した。

本紙などのインタビューに答え、原爆や平和問題について語るカズオ・イシグロさん=ロンドン

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