米艦載機移駐後、厚木の騒音大幅減 地元、一部返還要望も

 米空母艦載機の移駐完了後の騒音状況を巡り、米海軍厚木基地(神奈川県大和、綾瀬市)周辺で100デシベル以上の測定回数が前年に比べ最大約9割減ったことが4日、防衛省の調査で明らかになった。ただ、依然としてジェット機の飛来は確認されており、地元自治体は引き続き基地負担の軽減を要請。さらに、国に対し同基地の一部返還も視野に米側と交渉するよう求めた。

 国と県、厚木基地周辺9市でつくる移駐に関する協議会で、国側が説明した。空母艦載機は3月末に岩国基地(山口県)への移駐が完了しており、厚木基地を取り巻く環境は大きく変わろうとしている。同日で8回目となった同協議会も「一定の区切り」(県幹部)として事実上終了し、基地関連の課題は引き続き議論の機会を設けていく方向で一致した。

 同省南関東防衛局によると、今年4~5月の騒音状況を大和、綾瀬両市で測定したところ、電車通過時の線路脇に匹敵する100デシベル以上の騒音はいずれも28回だった。昨年は大和市で244回、綾瀬市で164回発生しており、それぞれ約9、8割低減したという。

 同局は「(移駐の)効果は出てきている」との見方を示す一方、楽観視はしていないと説明。県も「騒音が減った実感はあるが、まだ28回あるのは大きな問題」との認識を示し、今後も国とともに飛行実態や騒音状況を把握、分析していくことを確認した。

 また同局は、厚木基地について「今後も日本の安全保障にとって非常に重要な施設」と強調。一方、空母艦載機による陸上空母離着陸訓練(FCLP)は硫黄島(東京都)と、空母入出港時は空母と、それぞれ岩国基地を直接往復することも明らかにした。

 自治体側は「住民の安心には騒音状況の検証と情報提供が必要」「恒常的な訓練施設の整備を早急に進め、甚大な騒音被害が二度と生じないよう強く求める」などと要請。さらに「厚木基地の利用形態変更は返還の要因になり得る」とし、今後は一部返還や共同使用の実現に向けて米側に強く働き掛けていくよう求めた。

空母艦載機移駐前後の騒音発生回数

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