成人年齢18歳に引き下げ 成人式の辞退者増を懸念 クレジットカードで多重債務に陥る若者も 問われる対策

 成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法が先月、成立した。成人年齢が18歳に引き下げられると、多くが高校3年生で成人を迎える。成人式の在り方は変わり、契約やローンなど消費者トラブルの増加が懸念される。4年後の施行に向けて、長崎県や市町など関係機関の対策が問われる。
 関心が集まっているのは成人式の日程や対象。これまで多くの自治体が開いていた1月前半では、大学受験と重なり、辞退者増が懸念されている。
 「会場を押さえなければならない。政府には早く方針を示してほしい」
 長崎市教委の担当者は口にする。今年は1月8日に長崎ブリックホールで開き約2500人が参加した。施行する2022年度には18、19、20歳のすべてが対象になる可能性がある。同市の対象者は1万人を超え、収容できる屋内施設は市内にはない。担当者は「対象者、日程、場所すべてが未定。今後検討しなければ」と頭を悩ませる。
 離島の対馬市は日程変更を見据える。同市では高校卒業後、進学や就職で多くの若者が島を離れる。このため新成人が里帰りとともに参加できるようにと14年度からは1月3日に開いてきた。同市教委は「高校生を対象にするのであれば3日に開く必要性は薄れる。開催時期を変える可能性はある」と説明する。
 課題はほかにもある。
 長崎県消費生活センターによると、未成年者は親の了承なく結んだ契約を原則、取り消せるし、クレジットカードを1人で作れないなど「保護」されている。担当者は「今後は歯止めがなくなる。成人になって間もない若者は悪質業者に狙われやすい」と危機感を強める。
 実際、2016年度に県が受け付けた20~22歳の相談件数の平均値は18~19歳の1・7倍にも上る。全国的にアダルト情報サイトのワンクリック詐欺や通販、痩身(そうしん)エステティックなどのトラブルが多く、クレジットカードで多重債務に陥る若者も少なくないという。
 長崎県教委は同センターと連携し、2019年度までに長崎県内すべての公立校でセンター職員による授業実施を目指す。家庭科や公民科などを2こま程度活用。契約やクレジットカードの仕組み、悪質商法の手口や予防策などを教える。
 長崎県教委は「成人として生きる上で必要な思考力や判断力を養う必要がある。高校の役割が問われる」としている。

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