中国・百度、自動運転バスでSBと提携し日本参入

中国IT大手の百度(バイドゥ)はこのほど、自動運転バスを量産し、中国と日本で走行させる計画を発表した。日本ではソフトバンクのグループ企業、SBドライブ(東京都港、佐治友基代表取締役社長兼CEO)と提携し、年度内に実証実験を開始する予定。ソフトバンクグループはITを使ったライドシェア(相乗り)や自動運転に注力しており、それが今回の提携に至った大きな要因という。(オルタナ編集部=中島 洋樹)

車の自動運転は、少子高齢化が進む日本で、運転手不足を解消する手段として、地方の交通手段確保、物流手段の確保、渋滞の解消、交通事故の削減といった面で効果が期待されている。

普通乗用車やバス、タクシー、トラックに導入されることで、持続可能な社会におけるモビリティの実現にもつながる。しかし、アメリカでは公道での自動運転実験中に死亡事故が発生するなど課題もはらんでおり、導入に向けてさらなる実証実験や検証を重ねることが必要となっている。

百度は自社のAIを用いた自動運転システム「Apollo(アポロ)」を開発し、中国・北京近郊の新都市である「雄安新区」などで実証実験を進めている。

Apolloを搭載した自動運転バス「Apolong(アポロン)」を同じく中国企業であるバス製造企業の厦門金龍聨合汽車工業有限公司と共同開発し、7月4日に量産を開始した。

SBドライブは、ITを用いたライドシェア(相乗り)や自動運転に特化するため設立されたソフトバンクのグループ企業である。ソフトバンクは海外のライドシェア企業に出資を行い、SBドライブも沖縄本島で自動運転バスの実証実験を行うなど、グループ全体でライドシェアや自動運転に注力してきた。

SBドライブは、自動運転バスの実証実験にはこれまでフランスのNAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)を使用してきたが、今回の百度との提携でApolongも導入する。

ソフトバンクグループ広報によれば、年度内に開始予定の百度との日本国内での実証実験は、開催時期や期間、実施場所は現在未定としながらも、Apolongを用いて行うことから、「現在、日本での走行に向けて百度と調整をはかっている」とのことだ。

今回の提携、実証実験を通して、SBドライブは「実験を重ねることで、自動運転バスの実用化による公共交通の維持・改善につなげていきたい」としている。百度は、同社が蓄積してきたAIの研究成果である自動運転技術をもって「日本が抱える交通・移動手段の課題を解決したい」としている。

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