日本での出会い、表現 米姉妹都市ゆかりの芸術家が藤沢で企画展

 藤沢市と米国マイアミビーチ市との姉妹都市提携60周年を記念した企画展「Scholar(スカラー)」が7日、藤沢市アートスペース(同市辻堂神台)で始まった。初日はマイアミビーチ市ゆかりのアーティスト、ガブリエル・デルポンテさんが、日本各地の日常をモチーフにした作品への思いや制作秘話を語った。8月26日まで。

 デルポンテさんは江戸時代の俳人・松尾芭蕉に影響を受けたことから、芭蕉同様に日本全国を旅してその体験を芸術作品に生かそうと、自転車で日本縦断するプロジェクトを発足。2014年9月に藤沢を出発し、2年10カ月かけて各地の山間部や島々を訪ねた。

 日本の自然や旅先での出会いなどを通じ、人々のつながりやコミュニケーション、アイデンティティーについて研究を重ねたデルポンテさんは「この経験は感受性を豊かにし、作品も百八十度変わった」。新たな創作活動では、人や社会とのつながりがテーマになったという。

 企画展では、旅先で出会った人々や町の日常風景を切り取った写真、「コミュニケーションの観点から、とても重要で芸術的と感じた」という電波塔をモチーフにした作品などが並ぶ。長崎市の「原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」に参列したデルポンテさんが撮影した記録映像も紹介している。

 アートスペースの担当者は「企画展名のスカラーは、日本語で『学者』を意味する。私たちは常に学び、いろいろなものを吸収している。企画展を通じてまた何かを感じ取ってもらえればうれしい」と話す。会場には、湘南ゆかりのアーティスト4人の詩や映像作品なども展示されている。問い合わせは、藤沢市アートスペース電話0466(30)1816。

「日本の文化や人々に触れる素晴らしい機会だった」とプロジェクトを振り返るガブリエル・デルポンテさん

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