F1イギリスGP決勝:大波乱のレースをベッテルが制す。怒涛の追い上げを見せたハミルトンは2位

 7月8日現地時間午後2時10分、イギリスGP決勝が行なわれた。朝から快晴で気温は25度、路面温度52度という暑いコンディションになった。 

 フリー走行3回目のクラッシュで予選不出走のブレンドン・ハートレーはモノコックを交換し、ICEとMGU-Kも新品に換えてピットレーンからスタート。ウイリアムズ勢もリヤウイングとTウイングを予選とは異なるスペックに交換したためピットレーンスタートとなり、グリッド上には17台しか並ばない珍しい状況となった。

 ハートレーはグリッドに向かうレコノサンスラップでトラブルが起き、ガレージに入って修復作業を行なうこととなりギリギリでコースに送り出したもののピットに戻った。

 トップ10は全車がソフトタイヤ、それ以下ではルノーの2台とランス・ストロールがミディアム、それ以外はソフトタイヤをスタートに選んだ。

2018年F1第10戦イギリスGP レーススタート時のキミ・ライコネンとの接触で後方からの追い上げを余儀なくされたルイス・ハミルトン

 スタート加速で首位に躍り出たのはセバスチャン・ベッテルで、ルイス・ハミルトンはターン1でややワイドになりその間にバルテリ・ボッタスが2番手へ浮上、そしてターン3でタイヤをロックさせたキミ・ライコネンがハミルトンに追突するかたちになりハミルトンはスピンして最後尾へ後退。ターン1ではルノー勢に挟まれ行き場をなくしたセルジオ・ペレスがスピンを喫している。

 これで上位は首位ベッテル、2番手ボッタス、3番手マックス・フェルスタッペン、4番手ライコネンは接触に対して10秒加算ペナルティが課された。

 5番手ダニエル・リカルド、6番手ニコ・ヒュルケンベルグ、7番手シャルル・ルクレール、8番手エステバン・オコンで、ハミルトンは9周目にはオコンを抜いて8番手、10周目には6番手に上がった。10番手以下はカルロス・サインツJr.、ケビン・マグヌッセン、フェルナンド・アロンソ、ピエール・ガスリー、ロマン・グロージャンと続く。

 コース上でのバトルが難しい状況で動きは少なく、13周目にライコネンが先頭を切ってピットインしミディアムに履き替えると、後方でもアロンソ、ペレスもピットイン。

 しかしソフトタイヤのデグラデーションはそれほど大きくはなく、1ストップ作戦を想定している他車はすぐには反応しない。17周目にフェルスタッペン、18周目にリカルドがピットインすると、首位ベッテルは左フロントタイヤが厳しくなり20周目にピットイン。

 ボッタスは21周目にピットインし順位は変わらず。ハミルトンは25周目まで引っ張ってピットイン後の首位ベッテルにプレッシャーを与えつつピットインして6番手に戻る。前のライコネンとのギャップは10秒だがラップごとにこれを縮めていく。

 リカルドは30周目に2回目のピットストップでソフトタイヤに交換しプッシュする作戦。すると31周目にマーカス・エリクソンがターン1でスピンしてバリアに激しくクラッシュ。

 セーフティカーが導入され、ここでステイアウトを選んだメルセデスAMGが首位ボッタス、3番手ハミルトンとポジションを上げ、ピットインしてソフトタイヤに換えたベッテルが2番手、フェルスタッペンが4番手、ライコネン5番手、すでにピットインしていたリカルドは6番手と割を食った格好になった。

 中団ではアロンソ、サインツ、ガスリー、ペレスがピットインし、7番手ヒュルケンベルグ、8番手オコン、9番手マグヌッセン、10番手アロンソ、11番手グロージャン、12番手サインツ、13番手ガスリー、14番手ペレスの順となった。

 レースは38周目に再開となりボッタスがベッテルを引き離すが、コプスでアウトからグロージャンを抜こうとしたサインツにイン側でオーバーステアを出してカウンターを当てたグロージャンが接触し2台はクラッシュ。これで再びセーフティカー導入となる。

 42周目にレースが再開され、直後にペレスがガスリーをパスして12番手に浮上。44周目にはボッタスがターン6でオーバーシュートし、トップのボッタスから2番手ベッテル、3番手ハミルトン、43周目にフェルスタッペンを抜いて4番手に上がったライコネンまでがテールトゥノーズの激しいバトルが展開される。

 レッドブル勢はこれに付いていけず、47周目に4速にスタックしたフェルスタッペンがスピンして最後尾に後退しリタイア。ターン6ではベッテルがボッタスのインを突いてオーバーテイクし首位を奪還、さらに48周目にはハミルトンも同じターン6でボッタスを抜いて2番手に上がる。

 しかしハミルトンはベッテルを追い詰めることができず、ベッテルが逃げ切ってイギリスGPを制した。ハミルトンは2位に終わり、ボッタスを抜いたライコネンが3位、ボッタスはタイヤのグリップ低下に苦しみながらもリカルドの激しい攻撃を抑え切って4位でフィニッシュした。

 中団は6位ヒュルケンベルグ、7位オコン、リスタート直後にマグヌッセンに押し出されたアロンソは最終ラップにマグヌッセンを抜き返して8位、そして50周目のターン16〜18でペレスのインを突いて抜いたガスリーが10位フィニッシュ。

 しかし、ガスリーは終盤のペレスとの接触により最終結果から5秒加算のペナルティが科され13位となってしまった。

2018年F1第10戦イギリスGP セバスチャン・ベッテルが優勝を飾る

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