長崎平和宣言 核禁不参加の政府批判を 起草委 9条堅持言及も要望

 長崎市は7日、「長崎原爆の日」の平和祈念式典で田上富久市長が読み上げる平和宣言文の起草委員会の最終会合を市内で開き、修正案を提示した。複数の委員が、核兵器禁止条約に参加していない日本政府への批判や国会への協力呼び掛けを明記するよう求めた。
 条約は50カ国・地域が批准して発効するが、批准は現在11カ国・地域にとどまっている。宣言文の修正案には日本や各国に条約への参加呼び掛けが盛り込まれた。委員からは「まず日本の不参加を批判しないと迫力がない」(朝長万左男・核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員会委員長)などと踏み込んだ表現を求める意見が出た。
 憲法に関しては、安倍政権が目指す9条改正について田上市長はこれまで「多様な意見がある」として言及に難色を示しており、修正案でも平和主義や不戦の誓いに触れるにとどめた。草野十四朗活水中・高非常勤講師は「改憲の動きにくぎを刺すべき」とし、他の委員も9条堅持への言及を改めて求めた。
 修正案では4月の南北首脳会談、6月の米朝首脳会談を踏まえた朝鮮半島非核化の実現にも期待。鈴木達治郎・長崎大核兵器廃絶研究センター長は「いろいろ課題が出てきても、大切なのは元に戻らないことだと強調してほしい」とした。
 起草委は田上市長を委員長とし、被爆者や有識者ら15人で構成。市は指摘を踏まえ7月末に宣言文をまとめる。市長が8月9日の式典で読み上げ、世界に発信する。市長は「核廃絶に向け、世界の人と共有できる内容にしたい」と語った。

平和宣言文の案に意見を述べる委員=長崎市平野町、長崎原爆資料館 

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