独ティッセンクルップ、ヒージンガーCEO辞任へ 「脱鉄鋼」路線を推進

 ドイツの鉄鋼・機械メーカー、ティッセン・クルップ(TK)は、ハインリヒ・ヒージンガー会長兼CEOが辞任すると発表した。

 ヒージンガーCEOは2011年にシーメンスの産業部門CEOからTKの経営トップに迎え入れられ、エレベーターなど機械系を経営の中心に据える「脱鉄鋼」路線を推進。米国アラバマ州の薄板事業(現AM/NSカルバート)を新日鉄住金とアルセロール・ミッタルへ、ブラジルの高炉事業(旧アトランティコ製鉄)はテルニウムへ売却した。

 「脱鉄鋼」の総仕上げとして、昨秋にはタタ製鉄と欧州鉄鋼事業を統合することで合意。先月末に最終契約を締結していた。

 TKの欧州鉄鋼事業は昨年から急速に収益力が回復し、規模の面からもタタとの統合比率が1対1では不利だとする批判的な声が強まっている。一方、機械系でもプラント部門が原油価格の下落などで苦戦しており、直近の業績ではけん引役が鉄鋼という皮肉な状況だ。最終的な評価は定まらないものの、数々の国際的な鉄鋼再編を置き土産に20年までだった任期を残してヒージンガー氏は去ることになる。

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